金属フタロシアニンナノウィスカーのエピタキシャル成長
フタロシアニンは、人類が初めて合成したポルフィリンであり、電子顕微鏡を使った分子構造の直接観察、有機半導体としての物性研究など盛んに研究がなされてきた。我々のグループでは、フタロシアニンを使った様々なエピタキシャル成長に関する研究を行いました。
- Recrystallization of Cu-phthalocyanine on KCl(001) substrates by annealing method, Journal of Crystal Growth, 254(2003)244-250.
- Growth of Cobalt-Phthalocyanine on KCl (001) Substrate and Copper-Phthalocyanine Whisker, Japanese Journal of Applied Physics, 43(2004)7725-7728.
- Growth of copper-phthalocyanine nano-crystallite epitaxially grown on KCl (001) substrate, Journal of Crystal Growth, 275(2005)e1993-e1996.
- 博士論文:柳谷伸一郎(2005)
- 修士論文:西方督、若松宏典、西方靖
熱処理法によるKCl基板上への銅フタロシアニンの成長(有機−無機ヘテロエピタキシー)
銅フタロシアニン(CuPc)蒸着膜に熱処理を施すことにより、直径50nm程度、長さ数百nm程度のナノウィスカーがKCl基板上にエピタキシャル成長することを発見した(下図)。このウィスカーは、熱処理温度約140℃以上、熱処理時間約6時間以上で発生し、最初に蒸着する膜が非常に薄い時のみエピタキシーすることを明らかにしました[1]。
銅フタロシアニンナノウィスカーの成長(ホモエピタキシー)
一般に結晶の成長は過飽和な環境の中でおこる。蒸着-焼鈍を繰り返すことでナノウィスカーが成長することを示し(下図)、配向制御したナノウィスカーの長さ制御に成功しました。
ヘテロ接合したCo/Cuフタロシアニンナノウィスカーの生成(有機−有機ヘテロエピタキシー)
ヘテロ接合したCo/CuフタロシアニンナノウィスカーCoPc分子をCuPcナノウィスカーの上に蒸着-焼鈍法で作製することにより、ヘテロ接合したナノウィスカーの生成に成功しました。(下図)