2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 |
EDB |
歴史と文化 / History and Culture |
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漢字の功罪 |
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[旧カリキュラム] 授業科目名: 外国文学
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教授・安東 諒 2単位 後期 水(3・4) 全(全) |
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授業の目的 |
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私たちが日ごろ何気なく使っている漢字について,それがいったいどういう経過で日本語として定着してきたのか? 明治維新と戦後の二回,漢字を国語として使用するについての是非が問われた.西洋人はこの複雑な形を「悪魔の文字」と呼ぶらしいが,こんなにやっかいなものを使う功罪についても,この教科書を手がかりに考えてみたい. |
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授業の概要 |
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私たち大和民族は,民族固有の文字を持たなかった.中国から朝鮮半島を経て漢字を仕入れた.初期はその字音を使って大和言葉を書き留めた.次には漢字一字に和語の意味を当てた.訓読みの工夫である.やがて漢字の形を省略したりくずしたりして仮名を拵えた.表音文字である.以来,日本人は漢字と仮名の交じった文章と漢字だけの文章とともに使用してきた.本書を読み解きながら,漢字というものをもういちど,じっくりと考えて見たい. |
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キーワード |
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漢字,音と訓,仮名,翻訳漢語,国語改革 |
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到達目標 |
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日本語の表現に果たしている漢字の役割と意味を一段拡げ深めた視点から理解して,それによってこれまでの自分の日本語表現の幅を少しでも深め拡げることを目標としたい.副教材のレポートを通じてもそれを鍛練する. |
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授業の計画 |
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1. | 第一章 漢字がやってきた |
2. | 第二章 日本人は漢字をこう加工した |
3. | 第三章 明治以後 |
4. | 第四章 国語改革四十年 |
5. | 終 章 やっかいな重荷 |
6. | 教科書の章立ては,上のようになっているが,これらの章の中の目立つ小項目を挙げれば,世界でたった一つの文字,漢語とはどういう言語か,無器用な日本人,漢字崇拝という愚,新語の洪水,漢字をやめようという運動,当用漢字の字体等々となっている.これらを手がかりとして,これらに関連する他者の見解も逐次紹介解説してゆきたい. |
7. | 授業は漢字の話だが,漢文や現代中国語についても説き及ぶ. |
8. | 数回の小レポート(授業時に説明する)を課し,日本語の読解力と表現法の練習も行う. |
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授業のタイプ |
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講義 |
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教科書 |
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『漢字と日本人』 高島俊男(文春新書) 720円 を各自用意しておくこと.また生協の書店にても購入可能です.資料等は授業時に随時配布する. |
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参考資料 |
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『日本漢語と中国』鈴木修次(中公新書),『国語改革を批判する』丸谷才一 編著(中公文庫)他. |
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成績評価の方法 |
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教科書のまとめとしての主レポート(4000字以上)と数回の小レポートと授業中の質疑応答等を勘案して評価する. |
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対象学生 |
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他学部,他大学学生も履修可能 |
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WEBページ |
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→コンテンツサーバ (EDB/CMS) |
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連絡先 |
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安東(656-7115, ando@ias.tokushima-u.ac.jp) オフィスアワー:
後期 金曜日 12時∼13時 安東中国文学研究室(総合科学部1号館3階) |
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受講者へのメッセージ |
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漢字に興味と関心のある者の受講を希望する. |