2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
歴史と文化 / History and Culture
日本考古学概論
助教授・定森 秀夫 2単位 前期 月(3・4) 全(全)
考古学は歴史学の一分野であるが,研究対象·研究方法において文献史学などとは異なる.本授業は,遺跡·遺構·遺物を研究対象とする考古学の方法論などの概要,および日本考古学の概要を理解することを目的とする.
考古学の基本,考古学の方法論などの概要を最初に講義する.そして,日本考古学の歩みとこれまでの成果を概説する.現在,日本考古学は旧石器時代から現代までを研究対象としており,発掘調査の進展によって,時代ごとに大きな成果をあげつつある.時代ごとに,考古学の成果と問題点を概説していくが,場合によっては主要な遺跡を取り上げたり,特殊な遺構·遺物を取り上げたりして,それらに関する詳しい内容を講義する.また,適宜スライド·ビデオなど ,を利用して,理解を深める.
日本考古学,発掘調査,埋蔵文化財,弥生時代,古墳時代
歴史と文化歴史と文化歴史と文化
1.考古学の方法論の基本を理解する.
2.日本考古学史と旧石器時代から現代までの日本考古学の内容を理解する.
3.周辺諸国の考古学の成果と比較検討して,アジアの中の日本文化を理解する.
1.考古学とは 物質的資料を対象とする,モノのガクモン,埋蔵文化財,発掘調査,アタマよりカラダ
2.考古学の方法論 層位学,型式学,年代決定論,学際的でなければ存立せず,自然科学的分析,想像力
3.日本考古学史 石鏃は雷神の落し物,水戸黄門は日本で最初の考古学者,近代考古学はモースから
4.旧石器時代の考古学 捏造はどうして起きたのか,前期旧石器は日本列島に存在するのか,石器作りは科学
5.縄文時代の考古学 土器出現,森·海·川の恵み,黒曜石を求めて海を渡る,縄文都市は成立するのか
6.弥生時代の考古学(1) 稲作文化複合体の渡来,渡来人は顔が細長かった,青銅器·鉄器,米は戦をもたらした
7.弥生時代の考古学(2) 吉野ヶ里遺跡,弥生土器は東京都文京区弥生町出土土器から命名,魏志倭人伝,卑弥呼
8.古墳時代の考古学(1) 前方後円墳は日本独自,竪穴式石室から横穴式石室へ,三角縁神獣鏡,馬がやって来た
9.古墳時代の考古学(2) 土師器の斉一性,須恵器生産の開始,渡来文物としての大壁住居·オンドル状遺構
10.飛鳥·奈良時代の考古学 飛鳥京,平城京,文字資料としての木簡,土師器と須恵器が日常食器,三彩·緑釉陶器
11.平安時代の考古学 土師器·須恵器に灰釉陶器·中国製陶磁器,平安京,地方ではまだ竪穴式住居に住む
12.鎌倉時代の考古学 土師器·山茶碗·陶器·瓦器·中国製陶磁器·高麗青磁,鎌倉と京都,元寇の遺跡
13.室町時代の考古学 京都,土師器·陶器·中国製陶磁器·朝鮮白磁,戦国大名の館·城の発掘調査,安土城
14.江戸時代の考古学 東京の発掘調査で江戸が見えてきた,日本で磁器生産,鎖国とはほど遠い国際交流
15.近現代の考古学 産業考古学,戦跡考古学,昨日はすでに考古学の対象となる,出土ビール瓶の編年
16.総括授業
教科書は使用しない.適宜プリント資料を配布する.参考文献は適宜紹介する.
出席,レポートなどにより総合的に評価する.
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
定森(埋蔵文化財調査室, 088-633-7236, sadamori@clin.med.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 授業後に教室で12時50分まで随時,埋蔵文化財調査室(蔵本地区,看護師寮1階東側)で随時 )
考古学に関心を持っている学生を望む.問題意識を持って受講し,疑問点などは随時質問してほしい.