2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
歴史と文化 / History and Culture
地域と地図1(地図投影法)
助教授・豊田 哲也 2単位 前期 木(3・4) 全(全)
ひとくちに地図と言っても,地形図や学習地図帳はもとより,粘土板や羊皮紙に描かれた歴史的な地図からコンピュータ上で操作可能なデジタル地図まで,その形態や内容はさまざまである.しかし,もともと丸い地球を1枚の地図に表すには投影法という工夫が欠かせない.地図投影法の歴史は,科学の発達や社会·文化の歴史でもあった.この授業では,それぞれの地図が描かれた時代の背景と投影法の数理的な原理をあわせて学ぶ.
授業では主としてヨーロッパにおける世界地図の歴史を,古代から現代まで順を追いながら解説する.授業は基本的に講義形式で進めるが,課題として地図を用いた作業を取り入れる.また,関連する情報の提供をウェッブページ上でおこなう(下記URLを参照).
地理学,地図学,世界史,世界地図,地図投影法,測量
歴史と文化歴史と文化
情報伝達手段としての地図が持つ意味を考え,投影法の原理を数理的に理解するとともに,世界史における地理的知識の変遷に関する認識を深める.
1.地図の起源-原始社会の地理的認識- : 無文字社会における地図
2.古代地理学の歩み-ギリシア·ローマの世界地図- : エラトステネスとプトレマイオス
3.神の支配する世界-中世ヨーロッパの世界観- : TOマップが描くキリスト教世界
4.近代地図への道のり-東西文明の出会い- : イスラム圏とアジアへのまなざし
5.世界地図のフロンティア-大航海時代の地理的発見- : スペイン·ポルトガルの地図作り
6.知の遊戯-近代的投影法の芽生え- : ルネサンス期の幾何学と地図
7.地図実習(1)
8.丸い地球を四角の地図に-メルカトル図法- : 16世紀フランドル学派の隆盛
9.北方航路の探検と極地図-正距方位図法- : 北極海を経てアジアへ
10.地図の「正しさ」を求めて-サンソン図法- : 正弦曲線を用いた正積図
11.形の整った正積図-モルワイデ図法- : 楕円曲線を用いた正積図
12.地図実習(2)
13.新旧二つの半球-平射図法- : 未知の南方大陸とクックの探検
14.優美な柔軟性-ボンヌ図法- : ボンヌ図法とサンソン図法の不思議な関係
15.映し出された地球-地図投影法の分類- : 数理的特性から見た地図の体系
16.授業のまとめ
織田武雄著 『地図の歴史(世界篇)』 講談社現代新書 368 1990年 756円,授業中に参照する資料は毎回プリントで配布する.,実習に際して,電卓,40㎝以上の直定規,雲形定規,グラフ用紙,ドローイングペン,色鉛筆などの準備や購入を求めることがある.
期末に実施する試験(40%),作図実習の提出物(40%)に,授業への取り組み(20%)を加味する.
http://www.ias.tokushima-u.ac.jp/region/
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
豊田(2329, 088-656-7154, toyoda@ias.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 毎週 木曜日12時∼13時 豊田研究室(総合科学部1号館3階)
自分の頭と手を使って古地図の魅力を味わおう.なお,高校の授業や受験科目で地理を履修·選択したかどうかは受講の必要条件ではない.