2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
生活と社会 / Living and Society
国際政治学入門
助教授・饗場 和彦 2単位 後期 月(9・10) 全(全)
「一種のチーズの臭いか...」.人間の死臭をどうたとえていいか思案しながら,死体を見回した.部屋いっぱいに`展示'してある遺体は白くミイラ化していた.次の部屋には子供のなきがらばかり横たわる.アフリカのルワンダでは,1994年の4月から6月にかけて,フツとツチの二つのグループがからむ対立で約80万人が殺害された(饗場和彦「虐殺から六年 和解と対立に揺れるルワンダ」『世界』2000年10月号より).世界のあちこちで依然,紛争が絶えない.この授業では戦争,平和の問題を中心に,国際社会,国際政治について関心と問題意識を高め,基本的な知識を得ることを目的とする.
国際社会の基本的な仕組み,特徴などを概説した上で,具体的な問題をとりあげて考察する.筆者はルワンダやボスニア,コソボ,東ティモール,カンボジア,ミャンマー,パレスチナなどの紛争地を歩き,2001年9月にはニューヨークでテロに遭遇.02,04年はアフガニスタンで調査を行った.授業ではこうした現場の視点を取り入れ,臨場感のある解説を試みる.ビデオやスライドなども多用し,2週間で一つのテーマを扱う.テーマごとに受講者からの質問や意見を集め,講義中にそのフィードバックも行う.
1.国際社会の基本的原理,仕組みが理解できる.
2.国際社会の平和と戦争の問題について知識を広げる.
3.国際政治の現実と理想について認識でき,バランスの取れた視点から思考ができる.
1.1 イントロダクション
2.2/3 国際社会の成り立ち,特徴,原則 -国内社会とどう違う?弱肉強食の世界か-
3.4/5 9/11テロ -NYでテロに遭い感じた`やっぱり'-
4.6/7 民族紛争の仕組みと実態 -東京と大阪間でも起きる?-
5.8/9 国際連合 -ノーベル平和賞はもらったけれど...その限界と期待-
6.10/11 731部隊と日本の戦争責任 -まず知ること,そして多面的な見方を-
7.12/13 憲法9条の平和主義と国際協力 -理想を忘れない現実主義でジレンマを超える-
8.14 まとめと補足説明
9.15 試験
10.16 試験の解答に関するフィードバック
教科書は特に指定しない.授業中に配布するレジュメにしたがって講義を進める.参考書などは最初の授業で紹介するが,たとえば以下の書籍など.高柳先男『戦争を知るための平和学入門』(筑摩書房,2000年,1,200円),『新国際関係学がわかる.(AERA Mook)』(朝日新聞社,1999年,1,050円),高坂正堯『平和と危機の構造』(NHK出版,1995年,1,068円),池上彰『そうだったのか!現代史』(集英社,2000年,1,700円),津守滋『地球が舞台 -国際NGO最前線からの活動報告-』(勁草書房,2002年,2800円).『グローバル時代の平和学 1から4巻』(法律文化社,2004年,各2500円).石弘之『子どもたちのアフリカ』(岩波書店,2005年,1700円).
期末の試験はあらかじめ問題を提示するので,試験日までに準備し,当日は持ち込み禁止で解答する.また,平常点として授業姿勢と出席状況を評価する.おおむね試験60%,平常点40%.
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
饗場(088-656-7186, aibak@ias.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 毎週火曜日 15時ごろ∼16時20分ごろ, 総合科学部1号館2階北棟
新聞の国際面の記事はよく読むようにしてください.