2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
人間と生命 / Humanity and Life
環境問題と科学者·マスコミー情報の中を生きて行く知恵ー
教授・小山 保夫 2単位 前期 月(1・2) 全(全)
環境問題に関わる科学的データ(生命科学分野)を正確に捉える感覚を身に付ける.科学者やマスコミに惑わされない為には何を身に付けるか?
科学的データは扱う人間により持っている意味が変わる事がある.科学的データがどの様に生み出され,どの様なプロセスを経て伝達されるのか,それらを解説する.
これは授業の目的と同じ.科学的データを正確に捉える感覚を身に付ける.
1.環境問題に関係する生命科学的な情報はどの様なプロセスを経て伝達されるか. 君に届く「情報」は本当に正しいのか?
2.マスコミ発表(新聞,テレビ),学会発表,論文発表,著書(新書などの書籍)の内容の正しい解釈の仕方とは.学会発表って何? 論文って何?学会って,誰でも作れるの?
3.教授,医学博士とは何か.どの様に研究をしているか,その分野の研究者かを調べる方法について.誰でも医学博士になれる? 君の将来の指導教員がどのような仕事をしているか,簡単に調べる方法とは? その仕事の内容の評価方法とは?「専門家」が専門以外のことを肩書きを頼りに話す可能性と,それを聞いている市民が誤解する可能性について.
4.研究者はどの様に実験を行い,論文をどの様に纏めるのか.審査制度のある雑誌の論文と審査制度のない雑誌の論文の違いは何か? 誰も引用しない論文って何?
5.個体レベルの実験と細胞レベルの実験から得られるデータの違いは何か.動物実験の結果は人に当てはまるか?
6.科学者の興味,マスコミの興味,市民の興味の違いはあるか.研究論文の「考察」とは何か,それをどの様に取り扱うか.市民受け,マスコミ受けする発表の仕方とは何か?
7.ある環境汚染物質を与えた動物から生まれて来た仔はほんとんどがメスだった場合,その物質は「環境ホルモン」か.<具体例からの論議をしてみよう>
8.ある環境汚染物質を生体内蓄積濃度で細胞に作用させたら細胞が死んだ.この場合,その物質は危険か.<具体例からの論議>
9.環境ホルモン(内分泌撹乱物質),ダイオキシンの問題は何だったのか,何なのか.最近,話を余り聞かなくなったと思いませんか?話題の流行り廃れもマスコミ次第?
10.最近の話題(その1)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長が,京都大学教授が行った講演について「雑感(感想みたいなもの)」をウェブに掲載したら,その教授から「名誉毀損」で裁判に訴えられた.9の講義を含めて,この裁判について考えてみよう.
11.最近の話題(その2)次から次に出て来る論文の捏造疑惑,同じデータを使った論文のニ重投稿(例えば,日本語論文と英語論文で同じ図を使っている等),研究業績書での虚偽記載など,研究者の置かれている環境とは..
12.環境科学系生命科学の論文を実際に見てみようか(その1)内分泌撹乱物質の「低用量効果」とは本当なのか?
13.環境科学系生命科学の論文を実際に見てみようか(その2)魚の「雌雄」が変わるとは,どのような事なのか?哺乳動物の「雌雄」が変わると同じように考えられるのか?
14.インターネットで見る環境系,生命系のサイト(ウェブは役に立つか,いわゆる市民団体のサイトとは一味違う「水商売ウォッチング」や「市民のための環境学ガイド」などのサイトを見てみよう)
15.科学者は,マスコミは,市民はどうあるべきか,君の意見を聞きたい.
16.講義を受ける前と後でどのように考え方が変わったか,考えてみよう.
受講者が三十名未満の場合には,教科書を用いずに講義の際に必要なプリントは配布します.しかし,受講者が三十名を超える場合には教科書(未定)を利用するかもしれません.
講義中の論議,筆記試験(小テスト,期末テスト),レポート,出席状況(試験の受験資格)などを総合的に判断します.成績の評価方法も受講生の数により変化しますが,学則に従って評価は行います.
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
小山(3N06, 088-656-7256, oyama@ias.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 講義の後,講義室やその周辺にしばらくは残っています.その際に質問などは受けます.また,メールを受け付け,必要に応じて返信したり,必要に応じてオフィスアワー設定をします.
(1)経験上,上の学年になるほど出席が悪くなります.よって,ニ年次以上の学生については出席を毎回調べ,一回の欠席につき期末テストから十点減点します.基礎の基礎から話を進めますので,遅刻は「欠席扱い」にしますので注意してください.(2)この講義が話しますのは一つの見方です.それが全てでは有りません.多様な見方があることを意識しながら,受講してください.