2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 |
EDB |
人間と生命 / Humanity and Life |
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DNAから考える動物の発生と進化 |
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[旧カリキュラム] 授業科目名: 総合科目
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教授・真壁 和裕, 高浜 洋介, 野地 澄晴, 助教授・樋浦 明夫, 助手・三戸 太郎, 助教授・渡部 稔 2単位 前期 金(9・10) 全(全) |
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授業の目的 |
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この地球上には100万ないし2千万種の動物が住んでいると言われている.それほど多くの動物も生命の誕生以来長い歴史の中で存在した動物たちのわずか1%以下にしか過ぎない.さらに驚くべきことは,これら生物の多様性,すなわちツチブタ,ダチョウ,チョウやニシキヘビ,恐竜やミミズといった動物も皆,5億4千万年以上前の先カンブリア紀の海に存在した1つの左右相称な祖先に由来していることである.その過程で獲得した「種の保守性と多様性」,すなわち進化というからくりを,発生とそれを制御する遺伝子との関係で現代的にとらえて学ぶことを目的とする. |
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授業の概要 |
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この講義では進化生物学と発生学,遺伝学との接点を扱う.それぞれの分野の永い歴史と急速な発展の詳細にはあまり触れることができないが,この講義では形態進化の遺伝子的基盤について一般原理を解説することが目的なので,それを最もよく説明できる「ツールキット遺伝子」·「発生プロセス」·「分類」に注目して話を進める.前半では動物の進化の歴史と発生遺伝子およびその調節メカニズムに焦点をあて,後半では異なる形態的レベルで動物の進化の基礎となっている遺伝的メカニズムについて触れる. |
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キーワード |
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発生,遺伝子,進化,形づくり |
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到達目標 |
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いかに姿形が異なる動物であってもあらゆる動物は,共通の祖先からそのDNAが変化することによって派生し,同じ遺伝子を使って形がつくられることを理解すること.その際,DNAのどのような変化が形態の変化に結びつくのかを理解すること.動物の形態のもつ,素晴らしい,しかし現在減少していまっている多様性がどのように進化したかについて理解すること. |
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授業の計画 |
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1. | 動物進化の歴史1 |
2. | 動物進化の歴史2 |
3. | 発生用のツールキット遺伝子1(特別講師·成田裕一(理研CDB·研究員)) |
4. | 発生用のツールキット遺伝子2(特別講師·成田裕一(理研CDB·研究員)) |
5. | 動物の形づくり1 |
6. | 動物の形づくり2 |
7. | ツールキットの進化1 |
8. | ツールキットの進化2 |
9. | ボディプランと器官の多様化1 |
10. | ボディプランと器官の多様化2 |
11. | 新奇な形態への進化1(特別講師·日下部りえ(理研CDB·研究員)) |
12. | 新奇な形態への進化2(特別講師·日下部りえ(理研CDB·研究員)) |
13. | DNAから多様性へ:調節領域の進化1 |
14. | DNAから多様性へ:調節領域の進化2 |
15. | 定期試験 |
16. | 総括 |
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教科書 |
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「形づくりと進化の不思議」羊土社(4900円) |
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参考資料 |
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桑原哲夫「生命の意味―進化生態から見た教養の生物学」嘗華房,2002年,2000円,S. スタンレー「生物と大絶滅」東京化学同人,1991年,4600円,「DNA複製と修復」 実験医学16巻8号,羊土社,1998年,栗田子朗「多様性生物学入門―ヒトへの道程」東京大学出版会,1997年,2575円,瀬戸口烈司「人類の起源大論争」講談社,1995年,1456円,その他,適宜紹介する. |
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成績評価の方法 |
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出席状況,随時行う小テストおよび学期末の試験の成績などによって総合的に評価する. |
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WEBページ |
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→コンテンツサーバ (EDB/CMS) |
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連絡先 |
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真壁和裕(研究室は総合科学部1号館北棟2階) オフィスアワー:
特別に設定せず発展的な質問などは随時受け付けます.ただし講義内容そのものについての単純な質問は講義内の質疑応答の際に各担当教員にしてください. |
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受講者へのメッセージ |
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休んだり遅刻したりしないように,またしっかりノートをとって復習をする習慣をつけるようにしてください.進化という複雑でスケールの大きな現象をいろいろな観点からグローバルに考え,討論できるように,不可解な点については自ら意欲的に学習すると共に自然に学ぶという姿勢で臨むことが大切です. |