2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
自然と技術 / Science and Technology
地球の科学
教授・石田 啓祐 2単位 後期 月(3・4) 全(全)
日本列島というきわめて活動的な地盤に生活する私たちにとって,グローバルな視点から固体地球の物理的な性質と,それに起因する自然環境の変化を理解することは,大切な課題です.現在の固体地球の姿を理解し,地層や化石の記録から,地球誕生以来の地球表層∼生物圏でのできごとを明らかにする事例を学びながら,プレート運動などによる地球環境の変遷の結果,私たちヒトが,「現在この地球に存在する」ことへの理解を深めることを目的とします.
講義の前半は,固体地球の姿とプレート運動論の成り立ちを学び,後半は地球と生命の歴史を学びます.
地球の形と大きさ,地球の物理的性質,地球の歴史,化石と生物の進化
固体地球の物理的性質やプレート運動,地層と化石から地球の歴史や環境変化を学ぶ方法の基本が理解できる.
1.幾何測地と物理測地:光学的な測地と重力ポテンシャルを考慮した手法の紹介.地球球形説と楕円体説:地球はどれほど球に近いのか,なぜ楕円体と考えるのか?
2.ジオイド:平均海面と一致する等ポテンシャル面が地球楕円体と実地形との中間項.アイソスタシー:ヒマラヤの引力の影響から地殻とマントルのバランス概念は生まれた.
3.重力からみた地球:地球の引力と遠心力の合力である重力,標準重力は地球楕円体上の理論値の概念.重力異常とその意味:重力値の測定と補正.標準重力値との比較の意味.
4.地磁気の原因と古地磁気からわかること:地磁気の性質と変化,その原因.地磁気の逆転.大洋底の磁気縞.磁極の移動と大陸の移動.
5.地球内部の温度の推定:断熱圧縮を熱源とした場合の地球内部の温度分布の見積り.
6.地震波と地球の内部構造:地球内部を伝わるP波·S波の速度,P波の陰の存在.地震の分布:地理的分布と深度分布.和達-ベニオフ帯とプレート境界.
7.大陸移動説からプレートテクトニクスへ:ウェゲナーの大陸移動説とその後.
8.地球の年齢を測る:地球の年齢の推定,最古の岩石や隕石からわかること.
9.大衝突から始まる固体地球と大気·海洋の生い立ち:隕石衝突による地球生成からラン藻類による大気·水圏の環境変化.
10.化石の定義:化石から何がわかるか. 地質時代と生物界の変遷:動物の進化によって順序立てられた地質時代の区分.
11.初期の大型動物群の誕生の謎と進化の試行錯誤:エディアカラ動物群とバージェス動物群.
12.セキツイ動物の出現から上陸へ:セキツイ動物の出現と進化,大海からの離脱まで.
13.地質時代の環境変化と生物の絶滅繁栄:時代の節目の大量絶滅の環境要因は?
14.プレートテクトニクスと環境変化:気候や海水準の変化が海陸の分布や生物進化に与えた影響.
15.ヒトへの道のり:なぜ私たちホモ·サピエンスが今ここに存在するのか?
16.総括授業(授業評価含む)
講義
教科書は特に指定しない.
「地球大進化 46億年·人類への旅」全6巻,NHKプロジェクト編, 2004年,S. スタンレー著「生物と大絶滅」,東京化学同人,1991年,平野弘道「繰り返す大量絶滅」岩波書店,1994年,参考書:丸山茂徳「46億年地球は何をしてきたか?」岩波書店,1994年
出席状況(10%),学期末レポート(50%)と授業内容の小レポート提出(40%)により総合的に評価する.
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
石田(総合科学部3号館2階南2S04, 088-656-7243, ishidak@ias.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 毎週 月曜日 12時∼13時 地球物質研究室(3号館2階南)
後期の月曜3·4講時に開講します.