2007年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
生活と社会 / Living and Society
日欧の民族問題 / Ethnic Issues in Japan and Europe
准教授・樋口 直人 2単位 後期 木(5・6) 全(全)
グローバル化の時代に向けた社会のあり方を学んでもらうことが,本講義の目的となる.私たちが当たり前の存在として考えている「国家」や「国民」は,歴史的にかなり無理をして作られたものであり,そうであるがゆえにさまざまな問題を抱えている.さらに,グローバル化が進むにつれて,今までのような国民国家では時代に適応できなくなってきた.そうした状況をふまえて,ここでは特に「民族」と「移民」をキーワードとして,19世紀から現在までを振り返る.
半年間の講義は,大きく2つのパートにわけられる.第1のパートでは,19世紀における国民国家の形成とそれがもたらす矛盾を,日本とヨーロッパにおける言語と民族に着目して解説する.第2のパートは,グローバル化のなかでの移民労働者を中心に,今の日本がどのように変化しているのかを考える.講義内容に関して具体的なイメージを持ってもらうために,アイルランドの民族問題に関するものと日本の外国人労働者に関する映画を2本みてもらう.
移民,民族,外国人労働者
民族問題,国民と国家,グローバル化の背景を理解する.また,今までとは異なる観点から欧米や日本の社会みることができるようにしてほしい.
1.0.オリエンテーション
2.日本人とは誰か?
3.国民統合と言語:フランス人はいつからフランス語を話すようになったのか
4.もう1つのヨーロッパ:アイルランドからみたイギリス(1)
5.もう1つのヨーロッパ:アイルランドからみたイギリス(2)
6.統合から排除へ:フランス都市暴動の社会的背景
7.在日コリアンが選挙に行く日:外国人参政権と国民国家
8.もう1つの日本:映画『オーバーステイ』鑑賞
9.南米の日本:ブラジルとアルゼンチンの日系社会
10.日本の南米:自動車産業とブラジル人労働者
11.国境の越え方:イラン人労働者の親族ネットワーク
12.消費社会の夢:バングラデシュ人の滞日経験
13.9.11後の世界と移民
講義
田中克彦『ことばと国家』岩波新書,1981年,640円,山中速人『ハワイ』岩波新書,1993年,640円
授業中の課題10%,大レポート50%,小テストレポート40%.詳しくは初回に資料を配付して説明するので必ず出席すること.課題をかなり出すので,単位をとりたいだけの受講生には不向き.
他学科,他学部学生も履修可能
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
樋口(1210, 088-656-7200, vyw03403@nifty.ne(no-spam).jp)
 オフィスアワー: 前後期 水曜日12時∼13時,樋口研究室(総合科学部1号館南棟2階)
これまで何気なく使っていた「国民」「日本人」「日本語」といった言葉そのものを見直す機会にしてほしい.また,外国に関心のある学生の受講を歓迎する.