2007年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 文化情報サブコース 学部課程 — 2年(前期) 2007年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 哲学·思想サブコース 学部課程 — 2年(前期) 2007年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 歴史·社会サブコース 学部課程 — 2年(前期) |
EDB |
理論社会学研究(その1) |
教授・吉田 浩 2単位 |
授業の目的 |
「変革の理論の諸類型」-マルクス,ウェーバー,シュムペーターの所説を中心としてーと題して講義する. 社会の変革の可能性とその必要性とをとりわけ強調するのが,ヘーゲルによって考案され,マルクスによって発展させられた弁証法である.だからこそマルクスは,弁証法を特徴づけて『資本論』で次のように述べていた.「弁証法は,現存するものの肯定的理解のうちに,同時にまた,その否定,その必然的な没落の理論を含み,どの生成した形態をも運動の流れのなかで,したがってまたその経過的な側面からとらえ,なにものによっても威圧されることなく,その本質上批判的であり革命的である」と.しかしながら変革の理論を具備しているということは,必ずしも弁証法だけの専売特許ではない.M・ウェーバーの『支配の社会学』にも変革の理論が立派に存在しており,彼はその変革を「外部からの革命」と「内部からの革命」とに区別している.とりわけ「内部からの革命」であるウェーバーのカリスマ革命論と宗教社会学とは,烈々たる変革の理論そのものなのである.全く同様に著名な経済学者であるJ・A・シュムペーターにも強烈な「革新の経済学」が存在しており,彼における変革主体である「企業者」は「創造的破壊」Creative Destructionという革新を陸続きとしてなしとげていくのである. それゆえ少なくとも3類の類型の「変革の理論」が存在しているのであって,従って同じ変革の理論といっても,それぞれのどこがいかに異なっており,どこが同一であり,なぜこのような差異が生じてくるのかということと共に,これら3類の「変革の理論」のどれが,科学的にみて正しいのかという問題が生じてこざるをえないのである.本講義はこれらの問題を吟味し,解決していくことを目的とする |
授業の概要 |
マルクス,ウェーバー,シュムペーターの変革の理論を比較,対照させて,それらの同一性と差異性とを確認しつつ,正しい変革の理論を探求していく. |
キーワード |
弁証法,矛盾,カリスマ,内部からの革命,外部からの革命,企業者,創造的破壊 |
関連科目 |
社会的行為の理論 (その1) |
受講者へのメッセージ |
少々難解でも,旺盛な知的関心をもってくらいついてくる学生諸君を歓迎する. |
到達目標 |
人々を盲目へと駆り立てる変革の理論ではなくて,人々に展望と正しい指針とをさし示す変革の理論を学ぶ. |
授業の計画 |
1. | 初めに-問題設定 |
2. | 三類の変革理論の同一性と差異性(1)ー静学・動学の二元論と静学の先行― |
3. | 三類の変革理論の同一性と差異性(2)-変革主体の特性と経済それ自体の自発的変化 |
4. | シュムペーターにおける「一定条件に制約された経済の循環」 |
5. | シュムペーターにおける「革新の経済学」―生産諸要素の新結合と企業者利潤― |
6. | 同上 |
7. | ウェーバーにおける「内部からの革命」 |
8. | 同上 |
9. | ウェーバーにおける「外部からの革命」と利潤問題 |
10. | 同上 |
11. | マルクスにおける変革理論 |
12. | 同上 |
13. | 終わりに |
14. | 同上 |
15. | 同上 |
16. | 試験 |
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成績評価の方法 |
試験の際のレポートと,講義内容に対する疑問,問題点を指摘する小レポートとによって総合的に評価する.疑問,問題点の指摘に対しては講義で答える. |
教科書 |
なし |
参考資料 |
マルクス,『資本論』新日本出版社,ウェーバー,『支配の社会学』創文社,『宗教社会学』創文社,シュムペーター,『経済発展の理論』岩波文庫,『資本主義・社会主義・民主主義』東洋経済新報社 |
WEBページ |
→コンテンツサーバ (EDB/CMS) |
連絡先 |
吉田(088-656-7198, yoshida@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp) オフィスアワー:
水曜日 12時∼13時 |
備考 |
教職単位として受講する場合には,2単位でよい |