2007年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(前期)
EDB
地域調査法EI
准教授・樫田 美雄 2単位
授業の目的
本授業は,『地域調査実習EI·EII』(水曜日9·10限)との組み合わせ授業として,地域に存在する福祉制度·医療制度·ボランティア制度·情報配信制度に関してのエスノメソドロジー的探求に必要な技能を獲得するための基礎体力をつけることを目的とする.具体的には,文献研究を中心とした内容で演習形式でおこなわれる.エスノメソドロジーとは,社会秩序としての制度,とりわけ,人と人が出会っている場面で観察できる相互行為秩序の研究方法であり,参与観察および会話分析を主要な技法としている.エスノメソドロジー·会話分析を,地域調査実習と連動させる形で,演習形式を用いながら教授する.エスノメソドロジーはデータ解析に時間がかかるため,夏休み前に調査にいく必要があり,そのためには,理論の概要を3ヶ月程度で速習しなければならない.したがって,前期の負担は重くなるが,やっただけのことはあるように配慮する.熱意を持ってついてきてもらいたい.また,年度末には『調査実習報告書』を作成するので,その覚悟で臨むこと.(なお,コース関連の卒論発表会に関する取り組みも本授業で行う)
授業の概要
エスノメソドロジー的相互行為分析の基礎文献購読
受講者へのメッセージ
1.演習形式の授業という性格上規模の限界があるので,十数人以上希望した場合は調整する(学年別調整方式).2.前期の内容を前提に,後期の授業が行われるため,後期のみの履修は困難である.
到達目標
ビデオカメラを用いた質的調査の技法を習得するために必要な基礎知識を身につける.英語文献を読みながら社会学する習慣を身につける.
授業の計画
まず4月に「これまでの徳大での学習·研究生活の総括」を行い,メンバー同士の相互認知を達成するとともに,班づくりの素材とする.参加者には,1)これまでの履修授業一覧とその履修成果の主要部,2)これまでの社会学的書籍の読書リスト一覧とその学習成果の主要部,に関して授業冒頭の指示にしたがってレポートを書き,2週目から報告しなければならない.そのつもりで準備しておくこと.ついで『会話分析への招待』,『実践エスノメソドロジー入門』中の主要論文を読み,エスノメソドロジー理論および,調査手法の概略を学習する.後期は調査対象に許諾された調査項目がどのようなものになるか,ということに依存するが,調査項目に関連する邦文·欧文文献(たとえば,『悪いニュースをどう伝えるか』所収の諸章,『現代社会理論研究』第6号所収の,緊急電話に関する諸論文)を輪読する.分担部分の報告者1名と討論者1名は必ずレジュメを作成してくること.レジュメの作成技法およびコメント·討議する際の留意点は演習の中で随時教示する.最終的には,発表もコメントも芸であることを体得してもらう.すなわち,あとさきを考えた,議論の流れを誘導するようなコメントを行う能力の獲得のための演習をおこなう.なお,必要に応じて合宿を実施し,長時間討論や,プレゼンテーション能力の涵養もおこなう.雑誌論文の探し方は,実習の方で行う.
成績評価の方法
平常点(発表と討論の様子)が基本.理解定着のためのペーパーテストを行う可能性もある.
教科書
教科書 好井·山田編『会話分析への招待』世界思想社1999,教科書 山崎敬一編『実践エスノメソドロジー入門』有斐閣2004,参考書 メイナード著樫田·岡田訳『悪いニュースをどう伝えるか』勁草書房,山崎敬一·西阪仰編『語る身体·見る身体』ハーベスト社1997,西阪仰『相互行為分析という視点』金子書房 1997,西阪仰『心と行為-エスノメソドロジーの視点-』岩波書店 2001,サーサス/ガーフィンケル他『日常性の解剖学』マルジュ社 1989,D.サドナウ『病院でつくられる死』せりか書房 1992
WEBページ
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連絡先
樫田(1224, 088-656-9308, HCB00537@nifty.ne(no-spam).jp)
 オフィスアワー: (前期)火曜日 14時∼15時の予定(面談予約可能,樫田研ドアに書込).
備考
平成19年度は開講せず. 原則として隔年開講