2007年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(後期)
EDB
地域調査実習EII
准教授・樫田 美雄 1単位
授業の目的
本授業は,『地域調査法EI·EII』(水曜日9·10限,隔年開講)との組み合わせ授業として,調査紙を用いない社会調査の一つとしてのエスノメソドロジー的調査研究法に関する実習を行う.具体的には,前期の続きを行う.その分析プロセスの全体を通して,人間の身体がいかに他者との関わりの中で意味を持つようになっているかを確認していこう.また,この作業は福祉·医療の制度化された側面に関してのエスノメソドロジー的探求ともなろう.方法としては,インタビューとビデオ分析を用いるが,初歩から手引きするので,初心者も臆せず受講して欲しい.実習のなかで獲得が目指される能力は以下の通り.1)知的生産の基礎としての文献批判能力.2)エスノメソドロジー的社会調査を実施するための能力.すなわち,調査の諸時期区分(準備·実施·解析·報告書作成)に関してそれぞれ必要とされる能力.具体的には,対象者とのラポール形成能力·複数のビデオカメラを同期させる等のビデオデータ収集能力·画像のコンピューター上の処理などのデータ解析能力.3)報告書作成および発表会実施に必要なプレゼンテーション能力.イメージとしては,4年次に自力で調査を組み立て·実施し,卒論を書き上げることが出来るよう授業を組み立てていく.文献批判能力養成部分は,主として『地域調査法E』の方で行うので,かならず組み合わせて履修すること.また,年度末には『調査実習報告書』の作成及び,『調査実習報告会』の催行を行うので,その覚悟で臨むこと.(コース関連の各種卒論発表会の事務も行う)
授業の概要
鍼と灸の相互行為分析(予定)
キーワード
痛みの表現,気持ちよさの表現,鍼·灸,相互行為分析
受講者へのメッセージ
1.実習形式の授業という性格上規模の限界があるので,十数人以上希望した場合は調整する(学年別).少人数である分には困らないので,少人数の場合は面倒見よく対応したい.2.樫田の地域調査実習Eは隔年開講であるため,2年次の次は4年次に開講となる.3.前期の内容を前提に,後期の授業が行われるため,後期のみの履修は困難である.4.調査合宿時には若干の費用がかかるが,アルバイトの紹介も行う.
到達目標
ビデオカメラを用いた相互行為に関しての調査能力を獲得する.ただし,いったい自分たちがどのようなことを探究しているのか,本当に有意義なことを探究しているのか,という懐疑的視点を歓迎する.表面的な調査技法の押し売りは行わない.
授業の計画
まず4月に,文献探索法(雑誌論文の探し方)を通して,知的生産の基礎体力を獲得する.また,関係者の講義を聴くことによって,鍼と灸に関する基本的理解を図る.さらに,実習系の「教育」に関するビデオ分析も行う.ついで,診療所でしんりょうすることに関して,その概要を理解する.また,鍼や灸が効いたり効かなかったりすることに関して人間の「感覚」というものがどのように表現され,かつその表現が納得·理解されているのかという観点からの探究を行う.その後,第一次臨地調査に間に合うタイミングで「御願い状」の書き方や「礼状」の書き方,インタビューの仕方を練習する.第1次調査の後,先方で調査許諾を受けたテーマ別に班づくりを行い,第2次以降の臨地調査のための計画策定をする.以後,調査書の作成および報告会の実施に向けて,データの収集と解析を地域システムコースの諸設備(ビデオカメラ11台,テープレコーダー6台,コンピューター多数)を用いながら行っていく.
成績評価の方法
平常点(実習への取り組みの様子)が基本.
教科書
教科書 上野直樹『仕事の中での学習』東京大学出版会1999,参考書 桜井厚『インタビューの社会学』せりか書房2002,小林·船曳編『知の技法』東京大学出版会1993,石川准·長瀬修編著『障害学への招待』明石書店1999,石川准·倉本智明編著『障害学の主張』明石書店2002,佐藤『フィールドワーク』新曜社 1992,A.クロン『入門エスノメソドロジー』せりか書房 1996,樫田美雄「エスノメソドロジー的アプローチ」in野々山久也·清水浩昭編『家族社会 学の分析視角』ミネルヴァ書房2001,他随時指示する.
WEBページ
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
連絡先
樫田(1224, 088-656-9308, HCB00537@nifty.ne(no-spam).jp)
 オフィスアワー: (後期)金曜日 13時半∼14時半の予定(面談申込書あり,樫田研ドアに掲出).
備考
平成19年度開講せず 原則として隔年開講