現代社会の諸問題
目的
共通テーマを``「規範」と「逸脱」''とし,原則として一ヶ月に1期づつの,4期に分けて論じる.「現代社会の諸問題」というものを,総合科学部らしく,複眼的視点でもって見る力を学生に与えることを本授業の目的としたい.
概要
共通テーマを``「規範」と「逸脱」''とし,原則として一ヶ月に1期づつの,4期に分けて論じる.まず,第1期は,西出が担当し,アメリカ文化論の観点から,アメリカの自由主義と犯罪を3回掛けて論じる.ついで,第2期は,境が担当し,臨床心理面からみた現代社会の諸問題を``ニート・引きこもりの現状と臨床心理学的支援''というテーマで3回に分けて論じる.その後12月の第3期で樫田が,障害学の影響を受けた社会学の観点から「身体障害」と「精神障害」を中心的題材として「規範」と「逸脱」を論じる.その際,非常勤講師としてかつての幻聴とよばれた現象を「ヒアリング・ヴォイシズ」と呼び変える立場で運動している日本臨床心理学会運営委員長の佐藤和喜雄氏に登壇して頂き,当事者のリアリティから逸脱現象を把握する立場があることを知ってもらう.最終の第4期は,2008年12月末から1月にかけて上野が担当する.テーマを「家族形成規範の観点からみた『規範』と『逸脱』」と設定し,具体的には,1.晩婚化・未婚化の背景,2.国際結婚の時代,3.多様化する結婚・家族,の3つ分けて論じる.これらの授業を踏まえたレポートを年度末に2本(各800字)書いてもらい,それを全教員が総出で採点・講評することで授業の総括としたい.もりだくさんで大変ではあるが,その負担に見合った知的満足感が得られることは保証しよう.大学での知的実践というものにこの授業で本格的に参入してもらいたい.
キーワード
規範,逸脱,自由主義と犯罪,ニート,障害の社会モデル,ヒアリングボイスイズ運動,家族形成規範,引きこもり
注意
毎回,質問をコメントシートに書いてもらいます.それに対して最終回を含む適切な時に答える機会を設けますので,いつでも質問する気概で授業に出てきて下さい.
目標
1. | 『「規範」と「逸脱」』という切り口を通して,高校までとは違った大学的な(人文科学・社会科学的な)社会に対する見方ができるようになる. |
計画
1. | オリエンテーション(4教員がそれぞれの期の概要を話す.休んだ場合は理由を聞く) |
2. | 2∼4は,西出がアメリカの自由主義と犯罪をテーマとし,初回は(1)自由主義のジレンマー銃と犯罪― |
3. | 2回目は,(2)犯罪の社会的コストー刑務所国家の矛盾― |
4. | 3回目は(3)刑罰と人道主義―死刑制度の諸問題―,を論じる. |
5. | 5∼7は,境が臨床心理面からみた規範と逸脱をテーマとして語る.初回は,1,ニート・引きこもりの現状 |
6. | 2回目は,2.ニート・ひきこもりへの臨床心理学的支援, |
7. | 3回目は,3.ニート・ひきこもりへの臨床心理学的地域援助と,内容を分けて講義する. |
8. | 8∼11の第3期は,樫田が担当する.初回は,1.身体障害に関する社会モデルを障害学の観点から取り上げる |
9. | 2回目は,2.ろう文化や盲文化を同じく障害学の観点から取り上げる |
10. | 3回目は,3.精神障害者の生きがたさに大きく関わっている「幻聴」に関して,佐藤和喜雄氏に,氏が関わっている「ヒアリング・ヴォイシズ運動」の観点から語ってもらう. |
11. | 4回目は,4.総括として,精神障害も身体障害も社会モデルの観点から考察可能であることを指摘する |
12. | 第4期は,上野が家族形成規範をテーマに講義する.第1回は,1.晩婚化・未婚化の背景,について. |
13. | 第2回は,2.国際結婚の時代について. |
14. | 第3回は,3.多様化する結婚・家族について.これらを総合的に論じる. |
15. | 1月30日には,レポート後のため,特別講演「生活とリスク管理」を行う予定である. |
16. | 1月26日月曜日の正午にレポートの締め切りが入るが,最終の2月6日にはレポートの講評と返却を行う.最終日にはかならず出席すること. |
評価
4担当教官がそれぞれにレポート課題を出し,学生はその中から2つを選択して解答する.2つのレポートの合計点に出席点ほかをくわえて,それらの総合点によって評価する.レポートが一つしか提出されない場合には,もう一つ分のレポート点は0点とカウントされるので必ず2つ提出すること.また,3つの提出も認められない.レポートは1月26日月曜日の正午までに総合科学部の学務のボックスに提出せよ.盗作・盗用厳禁.
再評価
なし.
教科書
教科書は指定しない.各自担当者がプリントを適宜配布する.
参考書などについては,講義中に適宜指示する.
連絡先
- オフィスアワー: 各担当教官のオフィスアワーに準じる.
- オフィスアワー: 各担当教官のオフィスアワーに準じる.
- オフィスアワー: 各担当教官のオフィスアワーに準じる.
- オフィスアワー: 水曜日11時40分∼12時40分