英米文化研究II (その1)
准教授・山内 暁彦
2単位
目的
本授業では,18世紀イギリスの作家,ロレンス・スターン (Laurence Sterneの『トリストラム・シャンディ』(Tristram Shandy)を取り上げる.作品を精読することにより,小説の枠組みを超えた,ユーモアと諷刺に満ちた奇抜な作品の特質について考察する.また,作者Sterneの人物像や彼の人間観を研究するとともに,作者と作品の歴史的,社会的,宗教的,文化的背景を学ぶ.
概要
18世紀の小説勃興期に現れた型破りな小説『トリストラム・シャンディ』を研究する.この作品は,トリストラム本人の語り(執筆)により彼の誕生にまつわる話や,彼の父や叔父の奇妙な嗜好の描写が,度重なる脱線を経つつ意識の流れ的な手法やメタフィクション的な手法を駆使して展開される.通常の小説とは形式も内容も異なる奇抜な作品である.授業ではこの作品の原書を講読し,本作のもつ面白さを味わいながら,作品の持つ特異な価値について考察する.
キーワード
諷刺とユーモア
注意
受講生には随時発言を求めます.積極的に授業に参加する態度を望みます.前期の(その1)だけでなく後期の(その2)も受講し,通年での受講とすることが望ましい.
目標
1. | 『トリストラム・シャンディ』のような変則的で奇抜な作品を読む際に,ユーモアと諷刺に満ちた内容と多彩な小説技法を理解し,歴史的,社会的,文化的な背景に思いを致しながら,作品の面白さを味わい,その意義を多面的に理解することが自分なりにできるようになることを目標とする. |
計画
1. | イントロダクション |
2. | 【第1巻】第1章∼第3章 |
3. | 第4章∼第6章 |
4. | 第7章∼第9章 |
5. | ロレンス・スターンの人と作品 |
6. | 第10章 |
7. | 第11章 |
8. | 第12章 |
9. | 第13章∼第14章 |
10. | 観念連合(連想作用)の理論について |
11. | 第15章∼第17章 |
12. | 第18章∼第19章 |
13. | 第20章∼第21章 |
14. | 第22章∼第23章 |
15. | 第24章∼第25章 |
16. | 前期のまとめ |
評価
出席状況,授業参加の態度,課題の提出状況,レポート試験の得点などを総合的に勘案し評価する.
再評価
行なう.
教科書
教科書は使用せずプリントを配付する.
参考書:スターン作,朱牟田夏雄訳『トリストラム・シャンディ』全3巻(岩波文庫,初版1969年)
参考資料
参考書については授業中に指示する.各種ハンドアウトを随時配付する.
連絡先
- オフィスアワー: 金曜日 12時∼13時