2008年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 歴史·社会サブコース 学部課程 — 2年(後期)

2008年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(後期)

家族社会学研究

准教授・樫田 美雄

2単位

目的

家族という対象を通して社会を理解するとともに,卒業後の人生選択時に役立つ実践的思考能力を獲得する.従来の家族社会学では,家族の近代化とイエの桎梏からの解放支援が課題とされていたが,近年その目標とされた「家族の近代化」の中身を再吟味すべきであるという主張が強まっている.理想とされた「家族愛」のなかに,大人による子ども支配や性差別の要因が含まれていたのではないかという疑いが生じているのである.本講義では,この近年の家族社会学の変化を踏まえ,家族システムをそれを含む社会システム全体の中に位置づけて考えていくことにしたい.

概要

現代日本の家族と家族社会学の現在

キーワード

家族,パートナーシップ,少子化,歴史人口学

注意

出欠確認は毎回行う.とりわけ,初回のオリエンテーションは重要なので,欠席しないようにせよ.欠席者には理由を問う.「ジェンダー研究(中塚朋子先生·集中講義2007年9月18日∼21日」は関連科目である.履修を強く勧める.但し義務ではない.なお,「家族社会学研究(19年度開講)」は,隔年開講である.家族社会学関連分野で卒業論文の執筆を考えているものは必ず両授業に出席し単位取得すること.全く専門的準備のない「思いつき」から,知的生産物としての「論文」までの距離は果てしなく遠いことを理解してほしい.

目標

1.家族に関わる現象を通して,現代日本社会の問題を考える.家族社会学の現下課題の概略を知る.多様な暮らし方があり得ることを,パートナーシップ論を学びながら理解する.

計画

1.以下の諸トピックに関して教科書以外の事例も交えながら解説·講義する.
2.1 恋愛と結婚,再生産平等主義
3.2 主婦の誕生,性別役割分業
4.3 子どもの誕生,少子化,高齢化
5.4 女子雇用と介護保険制度,スウエーデンと日本のシステム比較
6.5 セクシャリティ研究の現在
7.6 家族研究の諸方法とその意義
8.テキストにしたがって進めるが,随時マルチメディア教材を活用すると共に,討論の時間ももうける.

評価

出席点+期末試験(公認指定カンニングペーパー方式)を基本とするが,理解のようすを見るために中間テストを行う場合もある.

再評価

おこなわない

教科書

教科書(落合編は,生協に取り寄せてあるので購入せよ) 落合恵美子『21世紀家族へ(第3版)』有斐閣 初版は1997

参考書 杉浦郁子・野呂亜紀・大江千束編著『パートナーシップ・生活と制度』緑風出版,1700円,2007),山田昌弘『パラサイト·シングルの時代』筑摩書房 1999,井上輝子·江原由美子編 『女性のデータブック』有斐閣 1995,野々山久也·清水浩昭編『家族社会学の分 析視角』ミネルヴァ書房2001,他随時指示する.

落合恵美子・上野加代子編著『21世紀アジア家族』明石書店,2000円,2006.加藤秀一・石田仁・海老原暁子著『図解雑学ジェンダー』ナツメ社,1300円,2005年.

連絡先

樫田(1224, 088-656-9308, HCB00537@nifty.ne(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日13時半∼14時半(予約優先待機併用方式.予約申込書は樫田研ドアに年度当初掲出する).

備考

平成19年度は,6月9日土曜日に3∼4コマ分の補講として「パートナーシップの多様性に関するワークショップ」を,外部講師の杉浦郁子先生をお迎えして行う(午前・午後).これは,以下の予定された休講の代替である.すなわち,4月27日,6月1日,6月29日の計3回分の休講の代替である.予め予定を組んでおくこと.平成20年度は開かず.平成19年度,21年度に開講予定(隔年開講)