ジェンダー研究
准教授・樫田 美雄
2単位
目的
「性差」と呼ばれる差異が社会的秩序として重要な意味を有する限り,「性差」として特定の差異を際立てながら身体は構築される.その性の二元性のもとで構築された身体を「ジェンダー化された身体」と呼ぶ. 本講義は,現代社会の「性」(セックス/ジェンダー/セクシュアリティ)をめぐる現象について概観しながら,この「ジェンダー化された身体」を,理論的かつ経験的アプローチによって捉えなおす.
概要
「社会」とは何か,「わたし」とは何か,という問いのもと,ジェンダーをめぐる諸問題について考える力・発言する力を養うことを目指す.社会学は,遠く離れた場所でおきた出来事を自分の問題として捉え,個人的で些細なこと思われるような事柄を社会的で重要な出来事として捉えなおす視点を与えてくれる.豊かな「社会学的想像力」の発現を期待する. ■授業の内容と計画 「男」あるいは「女」というカテゴリーによって人びとを二分するような性別観のもとでは,その二者択一的な性別を人生において貫き持続させていくことが期待されている.また,「男/女」という性別の二元性が保持されている社会においては,儀礼的な色彩を帯びた場面ではその移動が許されることがあるにしても,男から女へあるいは女から男へという性別の移動は容易なことではない. しかし,二元性を前提とした固定的な性別観こそ,人びとの性自認(ジェンダー・アイデンティティ)を困難にさせている,あるいは双方の移動を困難にさせているという見方も可能である.「性同一性障害」という疾患名の登場や「性転換」「トランスジェンダー(性別の越境)」と呼ばれるような現象も,二元論的性別観がもたらした帰結である. 人びとは「男/女」というカテゴリーをどのように参照し,人生を形作っているのか.人びとは相互行為を通してどのように二元論的性別観をある一定の秩序として構成しているのか.社会学的な視点を通して,「ジェンダー化された身体」あるいは性別カテゴリーをめぐる「人びとの方法(ethnomethods)」を学ぶ.
キーワード
ジェンダー,身体,社会学
注意
質問を歓迎します.
目標
1. | 「社会」とは何か,「わたし」とは何か,という問いのもと,ジェンダーをめぐる諸問題について考える力・発言する力を養うことを目指す.社会学は,遠く離れた場所でおきた出来事を自分の問題として捉え,個人的で些細なこと思われるような事柄を社会的で重要な出来事として捉えなおす視点を与えてくれる.豊かな「社会学的想像力」の発現を期待する. |
計画
1. | 以下の内容について文字資料,参考文献等を使用しながら解説していく. |
2. | ジェンダーへの社会学的アプローチ |
3. | 「性差」と呼ばれる差異が社会的秩序として重要な意味を有する限り,「性差」として特定の差異を際立てながら身体は構築される.その性の二元性のもとで構築された身体を「ジェンダー化された身体」と呼ぶ. |
4. | 「社会」とは何か,「わたし」とは何か,という問いのもと,ジェンダーをめぐる諸問題について考える力・発言する力を養うことを目指す.社会学は,遠く離れた場所でおきた出来事を自分の問題として捉え,個人的で些細なこと思われるような事柄を社会的で重要な出来事として捉えなおす視点を与えてくれる.豊かな「社会学的想像力」の発現を期待する. |
評価
出席状況+受講姿勢+レポート
再評価
なし.
教科書
教科書は使用しない.
参考資料
加藤秀一・石田仁・海老原暁子,2005,『図解雑学ジェンダー』ナツメ社.
連絡先
- オフィスアワー: 授業終了後の休み時間に,質問に応じます.
備考
平成19年度開講(隔年開講).平成19年度の本授業は夏期集中として,9月11日から14日にかけて開講される見込みです.