2008年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 地域社会サブコース 学部課程 — 3年(後期)

地域社会ゼミナールCII (その1)

准教授・矢部 拓也

2単位

目的

現在,地域社会は様々な問題を抱えており,そこからの再生は大きな政策的課題でもある.このような問題に対応する,新たな地域の担い手として,行政や企業でない,市民セクター,NPOといった新しい動きが注目されており,それらは「地域自立」といった視点からまとめられるように思える.そこで,本ゼミナールでは,まちづくりをテーマに現在の地域社会の抱える様々な問題点の把握と分析,その上ので地域自立の可能性の検討,また,可能であれば,自ら問題解決の主体になることも視野に入れた問題解決方法を議論,実践してゆきたいと考えている.加えて,このような市民セクターやNPOに関わっている人々は,特別な人ではなく,普通の社会人であるが,今後の社会の新しい方向性がある程度見えている中で生活している.そこで,このゼミナールでは,このような新しい地域社会の潮流に触れている普通の人をゲストスピーカーに呼び,まちづくりを実践している彼らと議論する中で,自分なりの今後の都市再生への感触をつかんで欲しいと考えている.

概要

都市の衰退と再生過程に関する研究

注意

親が自営業主で,卒業後,地元に帰り家業を継ごうか迷っている人,また,親元に戻り就職をしようと考えている人には是非,本ゼミを受講して欲しい.また,地元徳島のまちづくりなどに関心をもっていたり,すでにそういった活動を行っている受講生を大歓迎する.大学にいるより現場に出たり,遊ぶのが大好き,もしくは,インタビューは苦手だが,Web検索したり図書館にこもって文献検索するのは大好きという受講生も大歓迎する.本授業では,自分の得意なものをバックグラウンドに,議論に参加することが要求される.また4年生の場合,このゼミナールは卒論研究の指導と直接関連するので,受講希望者は,担当教官と相談の上で,このゼミナールの受講を決めること.

目標

1.都市社会構造と都市の衰退と再生過程に対する理解を深め,それらを分析する視点と都市問題を自分たちの力で解決する術を身につける.

計画

1.授業では,まず矢作(1997),小林·山本(1999)をテキストに,現在の商業を中心としたまちづくりの現状と問題点,先進事例の目指している方向性を理解をしてもらう.また,私は1999年より毎月1回1週間弱滋賀県長浜市に滞在し,地元のまちづくり運動に関わりながら調査(参与観察)を行っているので,その報告を行い,現場サイドからの理解を深めてもらう.加えて,長浜でのまちづくり活動を通じて知り合った人々をゲストスピーカとして呼び,現在進行形の問題に関しての生きた議論をしてもらおうと考えている.本ゼミを通じて,地元徳島のまちづくりにも触れたいと考えているので,月に1回はゼミでまちあるきを行い,座学と現場のバランスのとれた議論を行えるようにする予定である.
2.前期のうちに各自の研究テーマを発表し,各自のテーマに関連した先行研究について検討すると共に,後期にかけて各々データの収集·分析やフィールドワークをおこなう.後期末には,レポートとして分析·調査結果をまとめる.

評価

成績評価は平常点(ゼミにおけるプレゼンテーションと貢献)と期末レポートによる.詳しくは授業の中で説明する.

再評価

行わない

教科書

テキスト

矢作弘『都市はよみがえるか:地域商業とまちづくり』岩波書店,1997

小林重敬·山本正堯『既成市街地の再構築と都市計画(新時代の都市計画3)』ぎょうせい,1999

矢部拓也「地方小都市再生の前提条件:滋賀県長浜市第三セクター『黒壁』の登場と地域社会の変容」『日本都市社会学会年報』18,2000

参考書

日本政策投資銀行地域企画チーム編著『自立する地域:その課題と戦略』ぎょうせい,2001

日本政策投資銀行地域企画チーム編著『錦おりなす自立する地域:9つの視点から見た100の振興プロジェクト』ぎょうせい,2002

金子郁容『コミュニティ·ソリューション:ボランタリーな問題解決にむけて』岩波書店,1999

ピックバンス編『都市社会学:新しい理論的展望』山田他共訳,恒星社厚生閣,1982

藤村望洋『早稲田発 ゴミが商店街を元気にした!』商業界,2001

連絡先

矢部(1228, 088-656-9311, yabe@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12時∼13時

備考

「隔年開講」本年度開講