2008年度 総合科学部 自然システム学科 数理·情報コース 数理科学サブコース 学部課程 — 3年(後期)

応用数学特論

教授・伊藤 正幸

2単位

目的

この講義は,Advanced Calculusと呼ばれるもののうち関数列の一様収束性に関連した話題を取り上げる.収束と積分,微分と積分などの2重の極限操作を自由に入れ替えることは,一般に出来ないが,一様収束に関するいくつかの仮定の下では可能となる. このことは,微分積分学の計算技術に大きな恩恵をもたらす.基礎的な微積の授業では取り扱えなかった,積分計算が可能になるばかりか,将来偏微分方程式論や関数解析学を学ぶための重要な基礎理論が展開できるのである.

概要

収束概念を再確認し,一様収束とその応用としての積分定理や,積分計算を習得する.

キーワード

一様収束,微分と積分の順序交換,平滑化

注意

.高校以来,定積分といえば不定積分に値を代入するだけにとどまっていた微積の知識では大学の数学の理解は進みません.先人たちの苦労はいろいろな考え方を生みました.そのなかで,この講義の内容は,微積の知識のみしか使わないけれども,収束を詳細に理解することで達成された計算方法の紹介です.そのほかには,複素関数論に基づく方法や,ルベーグ積分による方法などあります.,応用解析学I,IIや解析学Iの授業と比べると,先人たちがないに苦労してきたか分かるのではないでしょうか?

目標

1.収束概念,一様収束概念の理解
2.積分と微分など二重の極限操作に関する注意点を知る.
3.定積分計算への応用が出来る.

計画

1.実数の復習I 連続性公理
2.実数の復習II 基本列の収束
3.関数列の収束I
4.関数列の収束II(一様収束)
5.演習
6.一様収束と積分I
7.一様収束と積分II
8.一様収束と積分III
9.演習
10.多重積分の順序の入れ替え
11.積分と微分の順序の入れ替え
12.積分と微分の順序の入れ替え(演習)
13.平均と平滑化I
14.平均と平滑化II
15.補足
16.期末テスト

評価

演習問題に対する取り組みの態度と期末試験( 授業中に示された例題を中心に出題する).受講者の理解度によっては期末試験はレポートに変える.

再評価

原則なし.

教科書

プリントを配ります.

参考資料

解析入門I,II(杉浦光夫著,東大出版会)などの本格的教科書には載っている内容であるが,要点を要領よく書いた資料を配布します.

連絡先

伊藤(総合科学部1号館1220, 088-656-7219, mas-ito@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜日12:00-12:50

備考

本年度開講せず.(隔年開講)