2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 学部課程 — 2年(後期)

2008年度 総合科学部 自然システム学科 生命·環境コース 生命機能サブコース 学部課程 — 2年(後期)

熱·統計力学I

准教授・真岸 孝一

2単位

目的

熱力学は,熱現象と力学現象とが相互に関係する分野をエネルギーという共通の立場から見直し,エネルギーの流れが関係する全ての現象を理解する際の基礎となっている.また,物質の熱的性質が圧力,体積,温度などの少数のマクロな物理量によって表されることを学び,系がどのように外界と熱的エネルギーを交換し,仕事をするかを理解する.熱力学では少数の法則を公理として,これからエネルギー授受に伴う状態変化の際のマクロな物理量の間の多くの関係式が導かれ,マクロな世界の熱が関与する現象が理解できる.しかし,物質のミクロな構造にまで立ち入った場合,原子および分子の運動を古典力学によって記述していたのでは熱現象を完全には説明できず,古典的な現象論の限界を知る.講義では,まずマクロな現象論的熱力学を学び,次にミクロな観点から熱現象をとらえる気体分子運動論,統計力学序論と進み,統計力学への橋渡しをする.

概要

熱力学と統計力学序論

キーワード

カルノーサイクル,熱力学第1法則,熱力学第2法則,熱力学的絶対温度,エントロピー増大則

注意

「力学」などの1,2年時の物理系科目の既修を前提とする. ノートとレポート用紙を用意すること.

目標

1.熱力学の法則により,マクロな世界の熱現象を理解する.

計画

1.導入
2.温度,熱,仕事,エネルギー
3.理想気体,状態量と状態方程式
4.熱の移動,熱伝導,冷却の法則
5.熱力学第1法則,内部エネルギー
6.理想気体の等温過程と断熱過程
7.カルノーサイクル,熱機関の効率
8.中間試験
9.熱力学第2法則,不可逆過程
10.熱力学温度,クラウジウスの不等式
11.エントロピー増大の法則
12.熱力学関数と自由エネルギー
13.気体分子運動論,エネルギー等分配則
14.速度の分布則
15.期末試験
16.総括授業

評価

出席状況,レポート,中間および期末試験の結果について,総合的に評価する.

再評価

希望があれば行う.

教科書

国友正和著「基礎熱力学」(共立出版)

連絡先

真岸(総合科学部3号館1N09, 088-656-7230, magishi@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (後期)木曜日 12時 ∼ 13時(これ以外に随時,教員室に居ればできるだけ対応します.)