2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 物理系サブコース 学部課程 — 3年(後期)

相対性理論

教授・日置 善郎

2単位

目的

古典物理学を通じて築きあげられた我々の世界観・自然観を大きく変えたアインシュタインの相対性理論(特殊および一般相対性理論)の基本的な構成を理解することを目的とし,それに基づいて,実際に運動物体のローレンツ収縮や時間の遅れに関する簡単な計算が出来るようになることを目標とする.

概要

古典力学の基本構成の復習からスタートし,光の本質に関する研究の歴史を解説する.次に,相対論誕生直前に行われた重要なマイケルソン-モーレーの実験を概観し,特殊相対性理論へと進む.簡単な思考実験から同時刻の概念が,実は選んだ座標系に依存するものであることを示し,それを土台として運動物体のローレンツ収縮や時間の遅れを説明する.続いて,異なる慣性座標系同士を結ぶローレンツ変換を導入し,速度の変換則を学ぶ.古典力学を相対論化することにより,有名な E=mc^2 という公式が予言されることを解説する.最後にこの特殊相対論を更に拡張させた一般相対性理論の基本的な構成を紹介する.

キーワード

特殊相対性理論,一般相対性理論,ローレンツ変換,相対論的力学,光速度不変原理,等価原理,相対論的量子力学

先行科目

力学

注意

やさしい解説を目指すが,講義だけですべてを理解するのは不可能.当然予習·復習等は不可欠.

目標

1.相対性理論(特殊および一般相対性理論)の基本的な構成を理解し,それに基づいて,実際に運動物体のローレンツ収縮や時間の遅れに関する簡単な計算が出来るようになること.

計画

1.相対性理論の概要
2.古典力学の基本法則
3.慣性座標系とガリレイ変換
4.光速測定とマイケルソン-モーレーの実験
5.特殊相対性理論の基本原理
6.運動物体のローレンツ収縮
7.慣性座標系とローレンツ変換
8.速度の変換則
9.世界距離と固有時間
10.共変・反変ベクトルとローレンツ変換の共変形
11.力学の相対論化
12.エネルギー・運動量の相対論的関係
13.一般相対性理論の基本原理
14.相対論的量子力学入門1
15.相対論的量子力学入門2
16.期末試験

評価

受講態度,数回の小テスト及び期末試験を総合して評価する.

再評価

有 (但し,不合格者全員が自動的に対象となる訳ではない)

教科書

プリント使用

参考資料

参考書:「相対性理論」(中野董夫)岩波書店

連絡先

日置(総合科学部3号館 1N04 号室, 088-656-7234, hioki@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
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