2008年度 先端技術科学教育部 システム創生工学専攻 電気電子創生工学コース 博士前期課程

強相関物質科学

Engineering of Correlated Electron Matter

講師・川崎 祐

2単位

形態

講義

目的

電子間の相互作用がその物性に本質的な役割を果たすいわゆる強相関電子系とそのエレクトロニクスへの応用について概要を知り,その理解の基礎となる磁性と超伝導の基本概念を習得する.

概要

強相関電子系物質では,従来の金属や半導体では見られない新奇な現象―高温超伝導,金属絶縁体転移,巨大磁気抵抗等―が現れる.これらの現象では電気伝導と磁性が密接に関係しており,これらの現象を利用した電気伝導と磁性が融合したエレクトロニクスへの応用が期待されている.この講義では,強相関電子系とその応用について概要を紹介し,その理解の基礎となる磁性と超伝導の基本概念を解説する.

キーワード

強相関電子,磁性,超伝導

目標

1.強相関電子系とその応用について概要を知り,その理解の基礎となる磁性と超伝導の基本概念を習得する.

計画

1.はじめに∼強相関電子系の特徴
2.磁性の分類と基本的概念
3.原子の磁気モーメント
4.固体中の磁性イオン
5.磁気モーメント間の相互作用
6.局在電子の磁性∼分子場理論とランジュバン常磁性
7.局在電子の磁性∼ワイスの分子場理論
8.遍歴電子の磁性∼パウリ常磁性と強磁性のストーナー理論
9.強磁性体の構造・分類と応用
10.超伝導現象
11.クーパー対の形成とBCS理論
12.磁束の量子化と超伝導磁束量子干渉計
13.第一種超伝導体と第二種超伝導体
14.新しいタイプの超伝導
15.マンガン酸化物とスピントロニクス

評価

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教科書

特になし

参考資料

太田恵造「磁気工学の基礎 I & II」共立全書