2008年度 先端技術科学教育部 システム創生工学専攻 光システム工学コース 博士前期課程

物質化学特論

Advanced Materials Chemistry

講師・手塚 美彦

2単位

目的

光·電子デバイスの多くは無機半導体の電子的性質をその動作原理としているが,LED一つを取ってみても発光部の半導体だけで素子が構築できるわけではない.半導体に電流を供給する電極には金属が,絶縁及び封止には高分子材料が使われている.そしてこれらの材料物質の性質はその構成要素である原子·分子の集合状態に大きく依存する.このように,一つのデバイスを作り上げるためには複数の材料物質に対する分子レベルの理解が必要である.本講義では,学部時代に修得した物理,化学,結晶,高分子,半導体などに細分化された知識を,物質の電子状態と構成原子·分子の集合状態という二つの観点から再編し,物質間の相互作用に関する知識を加えて発展させる.これによって材料物質を分野統合的な幅広い視野から見る能力を養うことを目的とする.

概要

物質のもつ構造,特異的な物性,機能,およびその合成を化学的に論じ,材料科学,物質科学の根幹をなす物質化学について理解を深める.最近の話題として,フラーレンとその誘導体を取り上げ,分子構造と物性との関係を解説する.また本講義は工業に関連した科目であり,「工業材料と社会生活」及び「工業材料の性質と構造」について実例を挙げて解説する.

目標

1.物質を構成する原子·分子の集合状態からその物性を予測し,材料としての応用展開が計れる.
2.物質の電子状態からその電気的·電子的性質を予測し,材料としての応用展開が計れる.

計画

1.イントロダクション(材料と化学)
2.結晶状態及び分子集合状態による物質の分類
3.結晶性物質
4.アモルファス物質(ガラス,シリコン,金属)
5.分子集合体(ミセル,液晶,ゲル)
6.電子状態による物質の分類
7.物質の電気的性質の実験的評価方法
8.誘電体(1)
9.誘電体(2)
10.半導体の電気化学的性質(1)
11.半導体の電気化学的性質(2)
12.金属と半導体との電子的相互作用
13.半導体と溶存化学種の電子的相互作用
14.炭素材料
15. 〃
16.定期試験

評価

複数回のレポート(50%)と定期試験(50%)で評価する.定期試験はテキスト持ち込み付加で行なう.

教科書

講義中に紹介する.

連絡先

手塚(光棟307, 088-656-9423, ytezuka@opt.tokushima-u.ac(no-spam).jp)