2008年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 経済社会 — 1年(前期), 2年(前期)

経済社会理論特論

教授・吉田 浩

2単位

目的

日本経済は1991年のバブル経済崩壊とともに不況へと陥り,90年代は「失われた10年」といわれてきた.その間,日本経済は構造的変化をとげてきたのであって,その第一は,安い労働力を求めて企業が多国籍化し,生産拠点を海外に移していったことである.その結果は国内の産業空洞化であり,失業者の増大ということであった.第二は,国内では猛烈なリストラを断行し,労働法制を規制緩和して,大量の非正規労働者におきかえるということであった.以上の結果は,わが国に「格差社会」が生じてきたのではないかということで,「格差社会」論が近年多方面で論議されるにいたっている.本講義ではこの「格差社会」の実態と,その問題点,是正の方法を検討していきたい.

概要

「格差社会」を論じている代表的著作を取り上げて検討していくとともに,現代の日本の雇用の実態に焦点を集中し,とりわけ青年の雇用のあり方から「格差社会」の問題に迫っていきたい.

キーワード

格差社会,派遣,請負の非正規労働者,ワーキングプア,世界経済のグローバル化,雇用の未来

注意

新聞報道等々に常に注目をして,国内外の経済状況,社会状況に敏感であってほしい

目標

1.若者の雇用実態から格差社会に迫っていく

計画

1.『格差社会』橘木俊詔著(岩波新書)
2.同上
3. 〃
4.『日本の経済格差』,橘木俊詔著(岩波新書)
5.同上
6. 〃
7.『不平等社会日本』,佐藤俊樹著(中公新書)
8.同上
9. 〃
10.『階層化日本と教育崩壊』,刈谷剛彦著(有信堂)
11.同上
12. 〃
13. 〃
14.『日本のニート・世界のフリーター』,白川一郎著(中公新書)
15.同上
16.総括

評価

授業への毎回の積極的な参加によって評価する

再評価

なし

教科書

授業計画の項で指摘しておいた.教科書が手に入らない場合はコピーをして手渡す

参考資料

授業中に適宜紹介をしていく

連絡先

吉田(088-656-7198, yoshida@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜日12時∼13時
木曜日18時∼19時30分の講義時間

備考

この講義は平成20年度前期の講義であり,後期も同一の形式で授業を行う