2008年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 経済社会 — 1年(前期), 2年(前期)

地域社会論II(地域変容論)

教授・平井 松午

2単位

目的

近年わが国では,外国人労働者の流入に伴う諸事象が社会問題化している.しかしながら,第二次世界大戦前には日本からも多数の海外移民を各地に送出していた.明治以降に顕在化する国内移住を含めて,こうした戦前期の移民政策は,「近代化」を押し進めるわが国の社会経済的な変革の中で展開されてきたものである.そこで本授業では,近代化過程におけるわが国の移民政策の展開やその社会経済的背景について論じるとともに,「人口移動」という観点から「移住」現象を地理学的に考察することを目的としている

概要

地域変容論研究(移民の歴史地理学的研究)

キーワード

地理学,近代日本,移民

注意

この授業の視点·論点については最初に平井が解説する.その後は,提示した資料や参考文献等にもとづいて,受講者各自に近代日本における人口移動·移住の地理的側面について報告してもらうことになる.

目標

1.移民を創出した「近代」の社会背景,ならびに移民研究の地理学的なアプローチ方法について理解できること.

計画

1.明治維新と制度改革-幕藩体制から近代国家へ-
2.近代国家と世界システム-領土の確定と周辺化-
3.文献発表と討論(1)
4.「中央」と「地方」(1)-商業的農業の衰退と地主制の進展-
5.「中央」と「地方」(2)-工業化と向都離村現象-
6.文献発表と討論(2)
7.辺境の内国植民地化-北海道の開拓と移民-
8.文献発表と討論(3)
9.「周辺化」地域出身の海外出稼ぎ移民-ハワイ移民-
10.文献発表と討論(4)
11.海外移民の移住地転換-北米·ベンゲット·南米移民-
12.文献発表と討論(5)
13.拓殖政策と満州移民-海外植民地への拓殖移民-
14.文献発表と討論(6)
15.近代におけるわが国の人口移動-地理学的視点から-
16.授業のまとめ

評価

受講者の報告内容,授業での発表·討論内容,レポートなどにもとづく総合評価とする.

教科書

授業中にプリントを配布する.参考書として下記の文献をあげておく.

桑原真人『近代北海道研究序説』北大図書刊行会,石川友紀『日本移民の地理学的研究』榕樹社,児玉正昭『日本移民史研究序説』渓水社,アラン·T·モリヤマ『日米移民史学』PMC出版,早瀬晋三『「ベンゲット移民」の虚像と実像』同文舘,蘭 信三『満州移民の歴史社会学』行路社ほか

連絡先

平井(2116, 088-656-7159, hirai@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: オフィスアワーは授業時間の前後,研究室電話番号 088-656-7159,E-mail: hirai@ias.tokushima-u.ac.jp