地域社会論III(都市社会学)
准教授・矢部 拓也
2単位
目的
都市社会学における論文には,大きく分けると,インタビュー調査など質的調査をもとにした論文とアンケート調査など量的調査をもとにした論文に2つのパターンに分かれる.本講義では,後者の量的な調査を扱った論文をきちんと読めるようになること目指す.具体的には私が部分的に関わっている東京都居住者を対象として行ったアンケート調査(TGSS調査)を題材に,様々な分析モデルを用いた量的研究論文を精読して行く.扱われる分析方法は,主成分分析,クラスター分析,分散分析,因子分析,ロジスティック回帰分析など.
概要
都市社会学における量的な実証論文の精読
注意
受講者としては,修士論文で量的な調査(サンプリングを行うアンケート調査)を行う者を想定している.受講者は学部レベルの基本的な社会統計の知識(重回帰分析を理解していればOK)を有していることが望ましい.但し,受講希望者の多くが社会統計の知識が無いことも考えられるので,基礎的な社会統計の知識に自信の無い受講希望者は登録前に矢部まで相談に来ること.前期の過ごし方,シラバスの内容の変更も含めて相談·検討する.
目標
1. | 量的な実証研究の手順(仮説設定,分析,結果)をきちんと理解し,様々な分析手法を用いた量的な実証研究論文を読めるようになること.その上で,自分の研究において適切な分析手法が分かり,修士論文作成に必要なデータ収集が出来るようになること. |
計画
1. | 基本的には,毎回担当者を決め,[教科書·参考書等]にあげた論文を順に読んでゆく. |
2. | 但し,受講者の興味や必要に応じて,各論文で参照されている各領域の基礎文献や,分析方法に関する文献を提示し,読み進めてゆく. |
評価
出席点,発表の回数と内容により成績評価を行う
教科書
松本康·原田謙(2001)「2000年東京版総合社会調査の概要:調査設計,調査方法,回答率」『総合都市研究』76:17-24
佐藤(粒来)香(2002)「高度経済成長期以降の東京における社会移動」『総合都市研究』78:55-65
矢部拓也(2002)「東京への定住とパーソナルネットワーク:地理的移動と移動後の居住年数の効果」『総合都市研究』78:67-79
中尾啓子(2002)「社会関係的資源の保有と利用:就職におけるパーソナルネットワークの役割」『総合都市研究』78:81-93
原田謙(2002)「ネットワーク特性と家族意識:伝統的規範と非通年的な結婚観に対する許容度に関連する要因」『総合都市研究』78:95-107
稲葉昭英(2002)「都市的生活とメンタルヘルス」『総合都市研究』78:109-118
玉野和志(2002)「地域情勢の教育文化運動から福祉ボランティア活動への展開:2000年東京版総合調査のデータ分析から」『総合都市研究』78:119-130
松本康(2002)「2000年東京版総合調査における標本の代表性」『総合都市研究』78:131-145
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日12時∼12時50分·1号館南棟2階 1228室,yabe@ias.tokushima-u.ac.jp
備考
隔年開講,今年度開講