2008年度 保健科学教育部 保健学専攻 看護学領域 博士前期課程

こころの保健学特論Ⅰ

Lecture on COCORO health science(1)

教授・二宮 恒夫

2単位

目的

子どものこころの問題は,家庭や学校における人間関係性の病理に基因し,こころの発達の歪みととらえることができる.従って,パターナリズムによる疾病モデルによる治療ではなく,発達モデルによるアイデンティティの確立に向けた支援が必要であることを理解する.

概要

こころの問題の身体·心理·精神症状や行動の年齢別特徴をとりあげ,アイデンティティ確立に向けた適切な支援方法について講義する.また,このような症状の要因になる対人関係の問題や,その改善のための方法についてセミナー形式で討議する.

キーワード

こころの問題,対人関係性の病理,アイデンティティの確立,発達モデルによる支援,世代間連鎖

注意

こころの問題に関して探究心をもって受講してほしい.

目標

1.虐待,摂食障害,不登校(ひきこもり),広汎性発達障害などの事例における身体·心理·精神症状,ならびに行動上の問題が,家庭や学校における人間関係性の病理に基因するものであることを理解する.こころの問題を有する子どもだけを治療の対象者と考えるのではなく,子どもと相互関係にある人のかかわり方にも注意し,こころの問題を関係性の障害の視点からとらえ直す.関係性の変化がこころの問題の改善につながることを理解する.

計画

1.しつけ,教育という関係性に潜む病理
2.子どもの家族,学校生活における孤立·孤独感
3.子どもの要因,親の要因,社会の要因
4.こころの問題と軽度発達障害
5.こころの問題の年齢別特徴(概略)
6.こころの問題の身体症状
7.乳幼児期のこころの問題の心理·精神症状
8.学童期のこころの問題の心理·精神症状
9.思春期のこころの問題の心理·精神症状
10.思春期の問題行動とこころの問題
11.アイデンティティ確立に向けた子どもの挑戦と支援
12.関係性の改善に向けた発達モデルによる支援
13.関係性障害の悪循環を防ぐ支援の実際
14.こころの問題の世代間伝達
15.関係性病理学の確立に向けて
16.試験

評価

筆記の小テスト,セミナーのための予習の準備状況,レポートを総合して評価する.

参考資料

多数あり,二宮教員室にある図書をその都度紹介する.

連絡先

ninomiya@medsci.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 保健学科3階,二宮教員研究室,昼食時および17時∼18時