2008年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 1年(前期)

2008年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — [必修] 1年(前期)

基礎有機化学1

Basic Organic Chemistry 1

教授・佐野 茂樹

1単位

形態

講義

目的

有機化学は薬学の基礎となる最も重要な学問であり,有機化学を深く学ぶことは生命科学の多種多様な事象を理解するうえで必要不可欠である.授業ではアルカン,アルケン,アルキンといった基本的有機化合物を取り上げ,有機化学を支配する統一的な基礎的概念の習得を目的とする.

概要

基本的な有機化合物の構造,物性,反応性を理解するために,電子配置,電子密度,化学結合の性質などに関する基本的知識を習得する.さらに,有機化合物の基本骨格であるアルカン,アルケン,アルキンについての物性や反応性,合成法などについて解説するとともに,薬学における有機化学の重要性を明らかにする.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC-4-(1)に相当

注意

薬学の根幹を成す有機化学の基礎をじっくりと学び,有機化学の「不思議」と「魅力」を実感してもらいたい.「自ら学ぶ」という積極的な姿勢を期待する.

目標

1.基礎有機化学1∼4および全学共通教育・基礎化学を通して,下記到達目標を含む薬学モデル・コアカリキュラムC4「化学物質の性質と反応」の(1)化学物質の基本的性質,(2)有機化合物の骨格,(3)官能基,(4)化学物質の構造決定,に関する基本的知識の修得を目指す.
2.基本事項
  1. 基本的な化合物を命名し,ルイス構造式で書くことができる.
  2. 薬学領域で用いられる代表的化合物を慣用名で記述できる.
  3. 有機化合物の性質に及ぼす共鳴の影響について説明できる.
  4. 有機反応における結合の開裂と生成の様式について説明できる.
  5. 基本的な有機反応(置換,付加,脱離,転位)の特徴を概説できる.
  6. ルイス酸・塩基を定義することができる.
  7. 炭素原子を含む反応中間体(カルボカチオン,カルバニオン,ラジカル,カルベン)の構造と性質を説明できる.
  8. 反応の進行を,エネルギー図を用いて説明できる.
  9. 有機反応を,電子の動きを示す矢印を用いて説明できる.
3.有機化合物の立体構造
  1. 構造異性体と立体異性体について説明できる.
  2. キラリティーと光学活性を概説できる.
  3. エナンチオマーとジアステレオマーについて説明できる.
  4. ラセミ体とメソ化合物について説明できる.
  5. 絶対配置の表示法を説明できる.
  6. Fischer投影式とNewman投影式を用いて有機化合物の構造を書くことができる.
  7. エタンおよびブタンの立体配座と安定性について説明できる.
4.無機化合物
  1. 代表的な典型元素を列挙し,その特徴を説明できる.
  2. 代表的な遷移元素を列挙し,その特徴を説明できる.
  3. 窒素酸化物の名称,構造,性質を列挙できる.
  4. イオウ,リン,ハロゲンの酸化物,オキソ化合物の名称,構造,性質を列挙できる.
  5. 代表的な無機医薬品を列挙できる.
5.錯体
  1. 代表的な錯体の名称,立体構造,基本的性質を説明できる.
  2. 配位結合を説明できる.
  3. 代表的なドナー原子,配位基,キレート試薬を列挙できる.
  4. 錯体の安定度定数について説明できる.
  5. 錯体の安定性に与える配位子の構造的要素(キレート効果)について説明できる.
  6. 錯体の反応性について説明できる.
  7. 医薬品として用いられる代表的な錯体を列挙できる.

計画

1.必要に応じて授業計画の各項目につき複数回の授業を行い,本授業の上記到達目標が達成できるように配慮する.
2.アルカンの反応—結合解離エネルギー,ラジカルによるハロゲン化ならびに相対的反応性
3.アルケンとIR分光法
4.アルケンの反応
5.アルキン—炭素-炭素三重結合
6.非局在化したπ電子系—紫外および可視分光法による研究
7.学期末試験

評価

学期末試験,授業への取組み状況などをもとに総合的に評価する.

再評価

実施する.

教科書

ボルハルト・ショアー『現代有機化学・上(第4版)』化学同人

連絡先

(研究室)薬学部・分子創薬化学研究室(本館6階東)
(研究室のホームページ)http://www.ph.tokushima-u.ac.jp/?&rf=116
(Eメールアドレス)ssano@ph.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 随時