2008年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 4年(後期)

実務実習事前学習

Pharmacy Practice · Pretraining

形態

実習

目的

卒業後,医療,健康保険事業に参画できるようになるために,病院実務実習・薬局実務実習に先立って,大学内で調剤および製剤,服薬指導などの薬剤師職務に必要な基本的知識,技能,態度を修得する.

概要

医療現場での実習に備えて,薬剤師職務に関連する基本的事項の講義,グループディスカッション,ロールプレイなどを盛り込んだ演習,模擬薬局での調剤,製剤の実践などを通して,大学内で薬剤師職務に必要な最低限の基本的知識,技能,態度を学ぶ.

カリキュラム関連

実習モデル・コアカリキュラム(Ⅰ)に相当

注意

本実習は,病院薬剤部において実施する病院実習,地域保険薬局において実施する薬局実習のためのプレトレーニングである.この事前学習を通じて基本的な薬剤師職務を理解し,医療人として一定レベルの技能,態度を身につけてから医療現場での実習に臨んでほしい.また,実習を通して医療において薬剤師が果たすべき役割についてよく考えてほしい.

目標

1.事前学習を始めるにあたって
  1. 事前学習に積極的に取り組むために,病院と薬局での薬剤師業務の概要と社会的使命を理解する.
  2. 《薬剤師業務に注目する》
  3. 医療における薬剤師の使命や倫理などについて概説できる.
  4. 医療の現状をふまえて,薬剤師の位置づけと役割,保険調剤について概説できる.
  5. 薬剤師が行う業務が患者本位のファーマシューティカルケアの概念にそったものであることについて討議する.(態度)
  6. 《チーム医療に注目する》
  7. 医療チームの構成や各構成員の役割,連携と責任体制を説明できる.
  8. チーム医療における薬剤師の役割を説明できる.
  9. 自分の能力や責任範囲の限界と他の医療従事者との連携について討議する.(態度)
  10. 《医薬分業に注目する》
  11. 医薬分業の仕組みと意義を概説できる.
2.処方せんと調剤
  1. 医療チームの一員として調剤を正確に実施できるようになるために,処方せん授受から服薬指導までの流れに関連する基本的知識,技能,態度を修得する.
  2. 《処方せんの基礎》
  3. 処方せんの法的位置づけと機能について説明できる.
  4. 処方オーダリングシステムを概説できる.
  5. 処方せんの種類,特徴,必要記載事項について説明できる.
  6. 調剤を法的根拠に基づいて説明できる.
  7. 代表的な処方せん例の鑑査における注意点を説明できる.(知識・技能)
  8. 不適切な処方せんの処置について説明できる.
  9. 《医薬品の用法・用量》
  10. 代表的な医薬品の用法・用量および投与計画について説明できる.
  11. 患者に適した剤形を選択できる.(知識・技能)
  12. 患者の特性(新生児,小児,高齢者,妊婦など)に適した用法・用量について説明できる.
  13. 患者の特性に適した用量を計算できる.(技能)
  14. 病態(腎,肝疾患など)に適した用量設定について説明できる.
  15. 《服薬指導の基礎》
  16. 服薬指導の意義を法的,倫理的,科学的根拠に基づいて説明できる.
  17. 《調剤室業務入門》
  18. 代表的な処方せん例の鑑査をシミュレートできる.(技能)
  19. 処方せん例に従って,計数調剤をシミュレートできる.(技能)
  20. 処方せん例に従って,計量調剤をシミュレートできる.(技能)
  21. 調剤された医薬品の鑑査をシミュレートできる.(技能)
  22. 処方せんの鑑査の意義とその必要性について討議する.(態度)
3.疑義照会
  1. 処方せん上の問題点が指摘できるようになるために,用法・用量,禁忌,相互作用などを含む調剤上注意すべき事項に関する基本的知識,技能,態度を修得する.
  2. 《疑義照会の意義と根拠》
  3. 疑義照会の意義について,法的根拠を含めて説明できる.
  4. 代表的な配合変化の組合せとその理由を説明できる.
  5. 特定の配合によって生じる医薬品の性状,外観の変化を観察する.(技能)
  6. 不適切な処方せん例について,その理由を説明できる.
  7. 《疑義照会入門》
  8. 処方せんの問題点を解決するための薬剤師と医師の連携の重要性を討議する.(態度)
  9. 代表的な医薬品について効能・効果,用法・用量を列挙できる.
  10. 代表的な医薬品について警告,禁忌,副作用を列挙できる.
  11. 代表的な医薬品について相互作用を列挙できる.
  12. 疑義照会の流れを説明できる.
  13. 疑義照会をシミュレートする.(技能・態度)
4.医薬品の管理と供給
  1. 病院・薬局における医薬品の管理と供給を正しく行うために,内服薬,注射剤などの取扱い,および院内製剤・薬局製剤に関する基本的知識と技能を修得する.
  2. 《医薬品の安定性に注目する》
  3. 医薬品管理の意義と必要性について説明できる.
  4. 代表的な剤形の安定性,保存性について説明できる.
  5. 《特別な配慮を要する医薬品》
  6. 毒薬・劇薬の管理および取扱いについて説明できる.
  7. 麻薬,向精神薬などの管理と取扱い(投薬,廃棄など)について説明できる.
  8. 血漿分画製剤の管理および取扱いについて説明できる.
  9. 輸血用血液製剤の管理および取扱いについて説明できる.
  10. 代表的な生物製剤の種類と適応を説明できる.
  11. 生物製剤の管理と取扱い(投薬,廃棄など)について説明できる.
  12. 麻薬の取扱いをシミュレートできる.(技能)
  13. 代表的な放射性医薬品の種類と用途を説明できる.
  14. 放射性医薬品の管理と取扱い(投薬,廃棄など)について説明できる.
  15. 《製剤化の基礎》
  16. 院内製剤の意義,調製上の手続き,品質管理などについて説明できる.
  17. 薬局製剤の意義,調製上の手続き,品質管理などについて説明できる.
  18. 代表的な院内製剤を調製できる.(技能)
  19. 無菌操作の原理を説明し,基本的な無菌操作を実施できる.(知識・技能)
  20. 抗悪性腫瘍剤などの取扱いにおけるケミカルハザード回避の基本的手技を実施できる.(技能)
  21. 《注射剤と輸液》
  22. 注射剤の代表的な配合変化を列挙し,その原因を説明できる.
  23. 代表的な配合変化を検出できる.(技能)
  24. 代表的な輸液と経管栄養剤の種類と適応を説明できる.
  25. 体内電解質の過不足を判断して補正できる.(技能)
  26. 《消毒薬》
  27. 代表的な消毒薬の用途,使用濃度を説明できる.
  28. 消毒薬調製時の注意点を説明できる.
5.リスクマネージメント
  1. 薬剤師業務が人命にかかわる仕事であることを認識し,患者が被る危険を回避できるようになるために,医薬品の副作用,調剤上の危険因子とその対策,院内感染などに関する基本的知識,技能,態度を修得する.
  2. 《安全管理に注目する》
  3. 薬剤師業務の中で起こりやすい事故事例を列挙し,その原因を説明できる.
  4. 誤りを生じやすい投薬例を列挙できる.
  5. 院内感染の回避方法について説明できる.
  6. 《副作用に注目する》
  7. 代表的な医薬品の副作用の初期症状と検査所見を具体的に説明できる.
  8. 《リスクマネージメント入門》
  9. 誤りを生じやすい調剤例を列挙できる.
  10. リスクを回避するための具体策を提案する.(態度)
  11. 事故が起こった場合の対処方法について提案する.(態度)
6.服薬指導と患者情報
  1. 患者の安全確保とQOL 向上に貢献できるようになるために,服薬指導などに関する基本的知識,技能,態度を修得する.
  2. 《服薬指導に必要な技能と態度》
  3. 患者の基本的権利,自己決定権,インフォームド・コンセント,守秘義務などについて具体的に説明できる.
  4. 代表的な医薬品の服薬指導上の注意点を列挙できる.
  5. 代表的な疾患において注意すべき生活指導項目を列挙できる.
  6. インフォームド・コンセント,守秘義務などに配慮する.(態度)
  7. 適切な言葉を選び,適切な手順を経て服薬指導する.(技能・態度)
  8. 医薬品に不安,抵抗感を持つ理由を理解し,それを除く努力をする.(知識・態度)
  9. 患者接遇に際し,配慮しなければならない注意点を列挙できる.
  10. 《患者情報の重要性に注目する》
  11. 服薬指導に必要な患者情報を列挙できる.
  12. 患者背景,情報(コンプライアンス,経過,診療録,薬歴など)を把握できる.(技能)
  13. 医師,看護師などとの情報の共有化の重要性を説明できる.
  14. 《服薬指導入門》
  15. 代表的な医薬品について,適切な服薬指導ができる.(知識・技能)
  16. 共感的態度で患者インタビューを行う.(技能・態度)
  17. 患者背景に配慮した服薬指導ができる.(技能)
  18. 代表的な症例についての服薬指導の内容を適切に記録できる.(技能)
7.事前学習のまとめ
  1. 病院実務実習,薬局実務実習に先立って大学内で行った事前学習の効果を高めるために,調剤および服薬指導などの薬剤師職務を総合的に実習する.

計画

1.上記到達目標に従い講義,演習及び実習を進める.

評価

原則として欠席を認めない.出席およびレポート,実習態度全般,理解度等に対する評価を参考にする.

再評価

認めない

教科書

未定

連絡先

(研究室)薬物治療解析学 医薬品情報学 病態神経薬学
(Eメールアドレス)臨床薬学実務教育室・東満美:azuma@ph.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 下記アドレス宛Eメールまたは面談を希望する医療薬学系教員に直接連絡し,時間調節の上面談して下さい.

備考

平成21年度以降開講予定