衛生学/公衆衛生学 講義
Hygiene/Public Health/Preventive Medicine
形態
講義
授業目的
個人と集団の両方を対象として健康の保持・増進と疾病の予防の実現を図る衛生学の全体像を理解することにより，歯科医師法第1条で定められた``歯科医師の任務''を遂行するための，必須の素養を身に付ける．
授業概要
健康の概念を明確化し，その保持・増進(保健)，すなわち疾病の予防から，生活の質(QOL)の向上のための方法論を総合的に学習する．疫学の方法論の基盤を身に付け，人間集団の健康問題を社会ならびに環境との関係から分析し，問題解決法の立案，遂行，評価を行うための基礎を学習する．本科目においては，医師，薬剤師ほか医療関係者全般に共通して必須の，予防医学・保健学に関する事項を中心とし，歯科医師に特異的な事項については主として予防歯科学の方で学習する．
授業テーマ
疾病の予防と健康の保持増進
授業方法
講義(教科書，プリント，スライド)および問題解決型授業の形式を適宜取り入れる．
授業場所
第4講義室
注意事項
試験は学生便覧の歯学部規則を満たしているものに対して行う．出席率が2/3以下の者，および無断欠席を2回以上した者は原則として受験を認めない．
到達目標(<>はコアカリ対応)
| 1. | 健康の概念を説明できる． | <C-1-1)> |
| 2. | 疾病の概念，種類及び予防を概説できる． | <C-1-3)> |
| 3. | わが国の保健・医療制度を説明できる． | <C-2-(2)-1)> |
| 4. | 医療保険制度，介護保険制度，社会福祉制度を説明できる． | <C-2-(2)-2)，C-2-(2)-3，C-2-(2)-4)> |
| 5. | 高齢者，および障害者のおかれた社会環境を説明できる． | <C-2-(2)-5)，C-2-(2)-6)> |
| 6. | ノーマライゼーションの考え方を説明できる． | <C-2-(2)-7)> |
| 7. | 環境による健康への影響を説明できる． | <C-2-(3)-1)> |
| 8. | 環境基準と環境汚染を説明できる． | <C-2-(3)-2)> |
| 9. | 第一次，第二次及び第三次予防を説明できる． | <C-3-(1)-1)> |
| 10. | プロフェッショナル・ケア，セルフ・ケア及びコミュニティ・ケアを説明できる． | <C-3-(1)-2)> |
| 11. | プライマリ・ヘルス・ケアとヘルス・プロモーションを説明できる． | <C-3-(1)-3)> |
| 12. | 集団レベルの予防と健康管理(地域保健，学校保健，産業保健)を説明できる． | <C-3-(2)-4)> |
| 13. | 疫学とEBM の概念を説明できる． | <C-4-(1)-1)> |
| 14. | スクリーニング検査を説明できる． | <C-4-(1)-2)> |
| 15. | 主な保健医療統計(人口動態・静態統計，患者調査，医療施設調査，医師・歯科医師・薬剤師調査，歯科疾患実態調査，学校保健統計調査)を説明できる． | <C-4-(2)-1)> |
| 16. | 主な健康指標(平均寿命，平均余命，新生児・乳幼児死亡率)を説明できる． | <C-4-(2)-2)> |
| 17. | 疫学調査の方法と統計的分析法を説明できる． | <C-4-(2)-3)> |
| 18. | 感染症の予防策と流行の拡大防止策について説明できる． | |
| 19. | 国民の栄養と食品の安全についての問題点と制度を概説できる． | |
| 20. | ストレスと精神保健の関係，および精神保健福祉活動の現状と動向を説明できる． |
授業計画
| 回 | 大項目 | 中項目 | 内容 | 担当 | 到達目標 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1. | 序論 | 衛生学・公衆衛生学の領域 | 健康の定義，衛生学とは，疾病・障害の定義，疾病の自然史，予防の3相5段階， | 伊藤 | 1,2,9 |
| 2. | 〃 | 健康の測定と健康指標 | 健康水準，健康指標，種々の比率，人口静態・動態統計，生活と健康，公衆衛生 | 〃 | 15,16 |
| 3. | 疾病予防と健康管理 | 1. 生活習慣病の予防 | 生活習慣病の予防，リスクファクター，健康管理，悪性新生物，心疾患，脳血管疾患，健康増進， | 〃 | 2 |
| 4. | 〃 | 2. 感染症の予防 | 感染症成立の条件，予防と流行防止対策，輸入伝染病，院内感染，感染症新法， | 片岡 | 2,18 |
| 5. | 環境予防医学 | 1. 環境と健康 | 地球環境の変化，環境の評価，物理的，化学的，生物学的環境要因 | 増田 | 7 |
| 6. | 〃 | 2. 空気と水 | 空気の衛生と大気汚染，水の衛生と水質汚濁，下水， | 〃 | 7,8 |
| 7. | 〃 | 3. 環境保全 | 環境基本法，環境基準，廃棄物処理，医療廃棄物，リサイクル | 〃 | 8 |
| 8. | 食生活と健康 | 国民栄養 食品保健 | 栄養所要量，国民栄養の問題点，肥満，食品の成分，食品の安全性，添加物，食中毒，保健機能食品 | 片岡 | 19 |
| 9. | 疫学 | 1. 疫学の概念 | 疫学の定義，目的，対象，方法，疾病の分類，疾病発生の多要因説，宿主要因，病原要因，環境要因，疫学モデル | 伊藤 | 13 |
| 10. | 〃 | 2. 疫学研究の方法 | 対象の選定と調査，標本の抽出，記述疫学，分析疫学，実験疫学 | 〃 | 13,17 |
| 11. | 〃 | 3. 疫学指標 | 疫学指標の所要用件，代表値，分散度，分布，比と比率， | 〃 | 16,17 |
| 12. | 〃 | 4. 臨床疫学 | Evidence-Based Medicine(EBM)の考え方，オッズ比，相対危険度，寄与危険度，因果関係の判定，交絡，有意性 | 〃 | 13,14,17 |
| 13. | 地域保健と衛生行政 | 公衆衛生活動の理念・目標 | プライマリー・ヘルス・ケア，ヘルスプロモーション，わが国の保健・医療制度，地域保健 | 石本 | 3,4,10,11,12 |
| 14. | 〃 | 学校保健・精神保健 | 学校保健，学校における精神保健:心のメカニズム，ストレスと精神疾患，精神保健福祉活動(メンタルヘルスケア) | 井﨑 | 20 |
| 15. | 〃 | 公衆衛生活動の仕組み | 成人・老人保健，母子保健，産業保健，障害者福祉，介護保険 | 伊藤 | 3,4,5,6,12 |
成績評価の方法
全授業の終了後，筆記試験を行う．筆記試験の得点(約50%)と，出席実績および授業中で出す課題(レポート等)の提出実績と内容(約50%)を総合的に評価し，合計得点(100点満点)の60点以上の者を合格とする．
再試験
原則として実施しない．
教科書，プリント，参考書
教科書:シンプル衛生公衆衛生学2006，鈴木庄亮，久道茂 編，南江堂 2,400円
参考書:数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活，ゲルト・ギーゲレンツァー著，早川書房 1,900円
参考書:スタンダード衛生・公衆衛生，飯塚喜一ほか編，学建書院 5,500円
参考書:スタンダード社会歯科学，石井拓男ほか編，学建書院 4,500円
WEBページ
連絡先
- オフィスアワー: (月・木 16:00∼18:00, 水 18:00∼19:00/5F 予防歯学・教授室)
- オフィスアワー: (月∼金16:00∼17:30/5F予防歯学・第2研究室)