2008年度 歯学部 歯学科 学部課程 — 4年(後期)

口腔外科学(2)BC 講義

Oral & Maxillofacial Surgery

教授・宮本 洋二, 講師・東 雅之, 講師・玉谷 哲也, 助教・内田 大亮, 助教・茂木 勝美, 助教・大江 剛, 大阪大学 非常勤講師・由良 義明, 助教・尾上 富太郎

2単位

形態

講義

授業目的

口腔外科疾患に対する的確な診断法の修得,疾患の特徴・病態について理解を深める.単に各疾患の病態を理解するだけでなく,全身疾患とのかかわりという観点からの学習を行う.また,解剖学的知識を十分把握したうえでその診断,治療を修得する.

授業概要

患者を診察する際の基本的な事項の把握,知識を修得させた後,各種の口腔外科的疾患についてその概念,成因,病態を理解する.具体的には,炎症性疾患, 血液疾患, 神経疾患,顎関節疾患, 手術方法, 再建外科, 生体材料などについて理解する.

授業テーマ

口腔・頸部を構成する軟部組織,硬組織およびその関連器官の疾病の診断と治療

授業方法

講義形式, プリント,スライド,ビデオを適宜用いる.

授業場所

臨床示説室

注意事項

試験は全講義数2/3以上の出席を満たしている者に対して行う.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.口腔粘膜の特徴を部位ごとに説明できる.<F-2-(3)-1)>
2.舌の構造と機能を説明できる.<F-2-(2)-2)>
3.口腔粘膜疾患の種類と特徴を説明できる.<F-2-(5)-2)-1)>
4.細菌, 真菌, ウイルスおよび寄生虫の形態学的特徴と生理学的性状を説明できる.<D-3-(1)-1)>
5.細菌, 真菌, ウイルスおよび寄生虫のヒトに対する感染成立の機序とこれらの微生物がヒトに対して示す病原性を説明できる.<D-3-(1)-2)>
6.歯性感染症の原因菌と感染経路を説明できる.<F-2-(4)-2)-2)>
7.急性炎症と慢性炎症の異同を説明できる.<F-2-(4)-2)-3)>
8.炎症の診断に必要な検査法を説明できる.<F-2-(4)-2)-4)>
9.口腔・顎顔面領域の特異性炎の種類と特徴を説明できる.<F-2-(4)-2)-5)>
10.菌血症および歯性病巣感染の病態を説明できる.<F-2-(4)-2)-6)>
11.一般的な消炎療法の意義と特徴を説明できる.<F-2-(4)-2)-7)>
12.主な炎症(舌炎,口唇炎,口底炎,智歯周囲炎,歯槽骨炎,顎骨炎,顎骨骨膜炎,顎骨周囲炎,下顎骨骨髄炎,歯性上顎洞炎等)を概説できる.<F-2-(4)-2)-8)>
13.水疱,紅斑・びらん,潰瘍,白斑,色素沈着等を主徴とする主な粘膜疾患を概説できる.<F-2-(4)-2)-9)>
14.歯性病巣感染の成立機序,症状,検査法および治療法を説明できる.<F-2-(4)-2)-10)>
15.各種臨床検査の基準値を知り,重要な異常値の意味を説明できる.<F-1-(1)-15)>
16.口腔・顎顔面領域に症状を現す血液疾患(貧血,出血性素因,白血病)とスクリーニング検査法を列挙できる.<F-2-(5)-7)-1)>
17.医薬品の分類を説明できる.<D-5-(1)-1)>
18.毒物・劇薬および麻薬等の表示と保管を説明できる.<D-5-(1)-2)>
19.日本薬局方を説明できる.<D-5-(1)-3)>
20.処方と処方箋の書き方を説明できる.<F-1-(1)-19)>
21.三又神経と顔面神経の走行と分布および線維構造を説明できる.<F-2-(1)-4)>
22.三又神経痛の特徴, 症状および治療法を説明できる.<F-2-(4)-1)>
23.顔面神経麻痺の特徴, 症状および治療法を説明できる.<F-2-(4)-2)>
24.味覚障害を概説できる.<F-2-(4)-8)-4)>
25.舌痛症を概説できる.<F-4-(5)-5)>
26.顎関節の構造と機能を説明できる.<F-2-(1)-5)>
27.顎関節疾患の種類と特徴を説明できる.<F-2-(4)-4)-1)>
28.顎関節疾患(外傷, 脱臼, 顎関節症, 顎関節強直症)を概説できる.<F-2-(4)-4)-2)>
29.インフォームド・コンセントの定義と重要性を説明できる.<A-4-1)>
30.清潔と不潔の区分および滅菌と消毒の意義, 原理および代表的な方法を説明できる.<D-3-1)-3)>
31.化学療法の目的, 原理および作用機序を説明できる.<D-3-1)-4)>
32.各種臨床検査の基準値を知り, 重要な異常値の意味を説明できる.<F-1-(1)-15)>
33.必要に応じて医科に対診できる.<F-1-(1)-16)>
34.患者に関する医療情報を他の機関に提供し, また, 求めることができる.<F-1-(1)-17)>
35.抜歯の適応症と禁忌症を説明できる.<F-1-(4)-1)>
36.粘膜切開・剥離に必要な器具の用法を説明できる.<F-1-(4)-2)>
37.抜歯に必要な器具の用法と基本手技を説明できる.<F-1-(4)-3)>
38.粘膜切開・剥離に必要な器具の用法を説明できる.<F-1-(4)-4)>
39.縫合と止血に必要な器具の用法を説明できる.<F-1-(4)-5)>
40.高分子材料, セラミックス材料, 金属材料および複合材料の構造と物性を説明できる.<E-1-1)>
41.生体材料の力学的, 物理的, 化学的および生物学的所要性質を説明できる.<E-1-2)>
42.生体材料と歯科材料の安全性の評価を説明できる.<E-1-3)>
43.臨床歯学教育<F>

授業計画

項目内容担当到達目標
1-2.炎症性疾患
口内炎,歯肉炎,舌炎,口唇炎および類似性疾患
白斑,紅斑,びらん,水疱,色素沈着などを主徴とする疾患 黒毛舌,溝舌,舌炎,地図状舌,肉芽腫性口唇炎,口角炎など
1, 2, 3, 13
3-4. 〃
歯周組織の炎症 顎骨の炎症
智歯周囲炎,歯槽骨炎,顎骨骨髄炎,顎骨骨膜炎,歯性上顎炎など
宮本6,7,8,12
5-6. 〃
顎骨周囲軟組織の炎症
口底炎,頬部の炎症,所属リンパ節の炎症など
11, 14
7. 〃
特異性炎
顎部放線菌症,口腔結核菌,口腔梅毒
内田9
8. 〃
歯性全身感染症
菌血症,敗血症,歯性病巣感染症
大江10,11,14
9-10.血液疾患
赤血球系疾患,白血球系疾患,出血性素因
貧血,赤血球増多症,白血病,白血球増多症,顆粒球減少症,血小板異常によるもの,凝固因子異常によるもの,線溶系異常によるものなど
尾上15,16,32
11-12.薬物,化学療法,理学療法
抗生物質・抗炎症剤・鎮痛剤・その他の療法
各種抗生物質,副腎皮質ステロイド剤,ステロイド剤,消炎酵素剤,鎮痛剤,止血剤,精神安定剤,救急蘇生用薬剤, 処方箋, 日本薬局方など
11,17,18,19,20,28,29,38
13-14.神経疾患・心因病態
神経痛および他の疼痛性疾患 神経麻痺, 神経痙攣 心因性病態
三又神経痛, 舌痛痛, 三又神経麻痺, 顔面神経麻痺·痙攣, 口腔心身症
大江21,22,23,24
15.顎関節疾患
発育異常, 腫瘍,炎症性疾患
関節突起発育不全, 顎関節腫瘍, 化膿性顎関節炎, 他
茂木26,27,28
16-17. 〃
顎関節症
顎関節症, 顎関節症の外科的療法
宮本
18. 〃
外傷, 強直症
顎関節脱臼, 関節突起骨折, 顎関節強直症
茂木
19-20.手術総論
手術および基本手技
手術器具, 手術手技, 消毒・滅菌, インフォームドコンセント
宮本29,30,32,38,39
21-22.手術各論
抜歯, 口腔外科小手術
単純抜歯, 難抜歯, 歯根尖切除術, 歯槽提形成術, 他
内田31,32,33,34,35,36,37,38,39
23-24. 〃
再建外科
軟組織再建(皮膚・粘膜移植,有茎皮弁,遊離皮弁), 顎骨再建, 骨移植術
宮本
25. 〃
歯の移植, 再植
歯の移植, 歯の再植, 人工歯根
内田
26-27. 〃
生体材料
生体材料の特性と臨床応用
宮本40,41,42
28-29.炎症性疾患
ウイルス感染症
ヘルペスを中心としたウイルス感染症
由良4,5
30-31.口腔外科学(2)BCの総括
国家試験対応および解説
国家試験問題を解いてみよう
宮本43

成績評価の方法

評価は筆記試験により行い, 試験は4年次後期試験期間中に実施する. 100点満点で60点以上のものを合格とする.

再試験

1回のみ行う.

教科書,プリント,参考書

塩田重利,富田喜内監修:最新口腔外科学,医歯薬出版,第4版,1999年

宮崎 正編:口腔外科学,医歯薬出版,第2版,2000年

道 健一,他編:口腔顎顔面外科学,医歯薬出版,初版,2000年

石川梧朗監修:口腔病理学,永末書店,第2版,1989年

連絡先

宮本(口腔疾患制御外科学, 088-633-7353, miyamoto@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木17:00∼18:00/5F第二口腔外科・教授室
東(088-633-7354, azumasa@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火・水・木17:00∼18:00/5F第二口腔外科・第1研究室
玉谷(088-633-7354, ttama@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月・金17:00∼18:00/5F第二口腔外科・第1研究室