2008年度 歯学部 口腔保健学科 学部課程 — [必修] 2年(後期), 3年(前期)

発達系歯科学

Pediatric Dentistry & Orthodontics

教授・尾崎 和美, 教授・三留 雅人, 講師・高橋 巧, 助教・星野 由美

2単位

形態

講義

一般目標

小児の心身の成長・発達をふまえ,発達期口腔保健の意義および口腔疾患の特徴,予防ならびに治療法を理解する.
また,顎ロ腔機能の発達過程および不正咬合との関連を理解し,顎口腔機能の育成および個性正常咬合獲得をロ腔保健の立場から支援するための知識を修得する.

授業概要

胎児期から成人前までの全身および口腔の正常像,疾病とその予防,治療法ならびに口腔の健康管理,顎骨,歯列及び咬合の成長発育,不正咬合の診断と治療法に関する講義を行う.発達期における歯科的な知識を全身との関連の基に理解することで,口腔保健教育を行う上での基礎的知識を習得することも目標の一つとする.

授業方法

講義(プリント,プロジェクタ等を適宜用いる.)
総括ではグループ討論を含む学生発表形式を適宜取り入れる.

授業場所

(2年次後期)木曜3時限目 第3講義室

行動目標 (到達目標)

1.小児の情緒と社会性の発達を説明できる.
2.顎・顔面頭蓋の成長過程を説明できる.
3.歯列咬合の発育過程を説明できる.
4.歯の萌出と乳歯・幼若永久歯の特徴を説明できる.
5.出生から青少年期までの心身の成長・発達を説明できる.
6.正常な歯列咬合の状態を説明できる.
7.不正咬合の種類とその影響を説明できる.
8.不正咬合の診断に必要な資料・情報を説明できる.
9.不正咬合の診断・治療法を概説できる.
10.歯科矯正器材と装置の種類・取り扱い方を概説できる.
11.小児歯科治療および歯科矯正治療におけるチーム医療を説明できる.
12.歯科矯正治療中の患児への口腔ケアと心理的支援を説明できる.
13.歯科診療時の小児の心理,行動の特徴および対応法を説明できる.
14.小児歯科治療における歯科衛生士の役割を説明できる.
15.小児期の口腔疾患とその治療法を説明できる.
16.小児期および青少年期に特有な心身の問題とその解決策を概説できる.
17.その他の保健医療関係法規を列挙できる.

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.各論
小児と人権,小児歯科学・小児歯科医療の特性・目的
尾崎1
2.総論発育概論
頭蓋の構成要素,発育期の分類,発育の評価法,精神運動発達
三留2
3. 〃 〃
成長発育曲線,顎・顔面・頭蓋の成長発育(成長発育の場),歯の成長発育(歯杯の形成・発育と歯の交換),歯列の成長発育(乳歯列,混合歯列,永久歯列,歯年齢),正常咬合
2,3,4
4. 〃 〃
摂食嚥下機能の発達と発達障害,思春期の身体的・心理的特徴
尾崎5
5. 〃咬合
顎位・咬合位,正常咬合,不正咬合の種類(個々の歯の異常,数歯にわたる異常,歯列弓形態の異常,上下顎間関係の異常),不正咬合の分類,不正咬合の頻度,不正咬合の原因(遺伝的原因,環境的原因,先天的原因,後天的原因,全身的原因,局所的原因),不正咬合の予防
6,7
6.各論口腔習癖および軟組織の異常
口腔習癖の種類と頻度,口腔習癖の不正咬合・咀嚼・発音・嚥下への影響,筋機能療法,軟組織の異常
高橋7,8
7. 〃矯正診断
診断のための診査と情報の収集(相談,問診,顔面写真,ロ腔内写真,ロ腔模型,パノラマエックス線写真,頭部エックス線規格写真,ロ腔機能検査等),症例分析法(模型分析,頭部X線規格写真分析,その他),治療方針の立て方
8. 〃診療計画
診査・検査,診断,小児・保護者への教育
13
9. 〃小児・保護者の心理
小児患者・保護者・歯科医師の関係,小児への対応,保護者の不安度,保護者への対応,歯科衛生士の役割
尾崎13,14
10. 〃咬合誘導
咬合誘導の考え方,意義,目的,分類
三留15
11. 〃矯正治療における生体反応と生力学
矯正力,歯の移動・組織反応,歯の移動様式,固定
尾崎9
12. 〃歯科矯正治療の使用器材
矯正用器材の種類とその取り扱い,矯正材料の種類と取り扱い
9,10,11
13. 〃矯正装置
矯正装置の種類,保定
9,10
14. 〃歯科矯正治療の実際1
乳歯列期および混合歯列期の歯科矯正治療,矯正治療における抜歯
高橋8-12
15. 〃歯科矯正治療の実際2
永久歯列期および成人の歯科矯正治療(外科矯正,補綴前矯正,矯正治療の展望)
16. 〃歯科矯正治療の実際3
歯科矯正治療(歯周病患者,MTM)
尾崎11,12,14
17. 〃歯科矯正における歯科衛生士の役割
予防処置,口腔衛生指導,患者教育と患者管理)
星野1-14
18. 〃歯科治療時の小児行動への対応法
小児チーム医療の原則,環境の整備,テンダーラビングケア,代用語の使用,行動変容法,歯科衛生士の役割
尾崎11,13,14
19. 〃 〃
強制的な行動抑制,鎮静法の応用,全身麻酔法,障害児口腔内の特徴と歯科的対応,歯科衛生士の役割
20. 〃小児の口腔疾患
乳歯う蝕の特微・罹患率,幼若永久歯う蝕の特徴,歯周疾患,ロ腔外傷,軟組織疾患
14,15
21. 〃診査と小児の歯冠修復,歯内療法
診査資料の見方,ラバーダム防温法,シーラント,成形充填,鋳造修復,全部歯冠修復
22. 〃小児の歯冠修復,歯内治療
覆髄法,生活歯髄切断法,抜髄法,感染根管治療
23. 〃小児歯科での外科的処置と乳歯・幼若永久歯への外傷
局所麻酔,抜歯,外来小手術,小児への薬物療法,外傷歯の診査,硬組織・歯髄損傷への対応,歯周組織損傷への対応,固定法,乳歯外傷の後継永久歯への影響
24. 〃小児歯科治療,歯科矯正治療における偶発症
小児歯科,矯正歯科治療における偶発症の種類,処置および予防
9,11,14,15
25. 〃歯科治療上注意すべき小児疾患
遺伝,染色体異常,感染症,循環器疾患他
2,3,4,5
26. 〃発達期口腔保健・地域歯科保健
発達期口腔保健の意義,混合歯列期の特徴,小・中・高校生の歯科疾患の実態
5,16
27. 〃 〃
定期健康診査,乳幼児歯科保健,学校歯科保健
17
28. 〃青少年期の問題点と解決策
親子・兄弟関係,青少年期の人間関係づくり,小児の虐待
三留1,5,16
29. 〃 〃
青少年を取り巻く環境と抱える問題,解決策,社会における青少年の問題,解決策
30.まとめ尾崎1-17

成績評価の方法

全講義終了後,筆記試験を行い総合的な理解度を評価する.
100点満点で60点以上を合格とする.

再試験

必要に応じて行う.

教科書,参考書

特に教科書は指定しないが,下記に示す参考書のほか,自分の使いやすいものを参考にすることを勧める.

参考資料

小児歯科学 第1版,医歯薬出版,2007

小児歯科患者の臨床的対応 初版,2001

新歯科衛生士教本 小児歯科学 第1版,全国歯科衛生士教育協議会編,医歯薬出版,1994

歯科矯正学 第4版,医歯薬出版,2001

歯科矯正マニュアル,第4版,南山堂,2006

新歯科衛生士教本 歯科矯正学 第1版,全国歯科衛生士教育協議会編,医歯薬出版,1993

新歯科衛生士教本 歯科診療補助 歯科器械の知識と取り扱い 第1版,全国歯科衛生士教育協議会編,医歯薬出版,1996

器材準備マニュアル,第3版,全国歯科衛生士教育協議会編,(財)口腔保健協会,2006

連絡先

尾崎 和美 (ozaki@dent.tokushima-u.ac.jp/6F口腔保健学科・第3研究室/633-7898)
オフィスアワー: 月∼金17:00∼18:00
三留 雅人 (mitome@dent.tokushima-u.ac.jp/3F小児口腔健康科学・教授室/633-7358)
オフィスアワー: 月∼金17:00∼18:00
高橋 巧 (takumi@dent.tokushima-u.ac.jp/3F矯正・第1研究室/633-7357)
オフィスアワー: 月∼金17:00∼18:00
星野 由美 (star-dh-hoshino7@dent.tokushima-u.ac.jp/6F口腔保健学科・第3研究室/633-7898)
オフィスアワー: 月∼金17:00∼18:00

備考

1.1∼15回: 2年次後期
2.16∼30回:平成21年度開講予定