2008年度 医学部 医学科 学部課程 — 2年(後期)

基礎医学(1) / 系統解剖・脳解剖実習

教授・福井 義浩

目的

人体の構造(内臓,血管,神経,筋肉などの位置)を理解する.

概要

解剖学は,人体の正常な構造を理解する学問である.解剖実習では,自らの手で解剖しながら人体を構成する各器官の位置構造を学習する.必要最小限の解剖学名(ラテン語,英語)は覚えなければならないが,単に構造や名称を憶えるだけでなく,生理機能なども同時に学習する.解剖実習は,医学生が大学に入学して最初に人体に接する機会でもある.実習用のご遺体は医学発展のために自らの意志によって本学に献体されたものである.充分な予習をし,実習そのものが復習であるようにすべきである.

キーワード

人体構造と機能,人体の発生,神経系の機能

授業方法

実習:テキスト配布,TV モニターによる説明,MRI 画像の提示

その他:コンピューターソフトウエアを利用しての演習,遺体防腐処理の見学

目標

1.内臓の名称・位置と働きを説明できる.
2.感覚器の名称・位置と働きを説明できる.
3.筋肉の名称・位置と働きを説明できる.
4.末梢神経の走行と働きを述べることができる.
5.血管の名称と走行を述べることができる.
6.脳の形態を三次元的に把握して説明できる.
7.献体および白菊会の活動について理解する.

計画

大項目中項目内容
1-2.系統解剖頚部浅層
広頚筋,胸鎖乳突筋,頚神経叢
3-5. 〃頚部深層
咽頭,喉頭,甲状腺,上皮小体,総頚動脈,迷走神経,副神経,交感神経幹
6-9. 〃胸部
浅胸筋,胸壁,胸腔,縦隔,胸腺,胸大動脈とその枝,交感神経幹,心臓,肺,気管支,食道,胸管
10-11. 〃背部
浅背筋,固有背筋,脊髄
12-15. 〃腹部
浅腹筋,腹膜,腹膜腔,横隔膜,後腹壁,腹大動脈とその枝,門脈,胃,十二指腸,空腸,回腸,結腸,肝臓,膵臓,脾臓,腎臓,尿管,副腎
16-17. 〃骨盤と会陰
会陰,膀胱,前立腺,卵巣,子宮,仙骨神経叢,陰部神経叢,総腸骨動脈とその枝,生殖器
18-19. 〃上肢,上肢帯
上肢帯の筋,上腕伸側・屈側,前腕伸側・屈側,手,腕神経叢とその枝,上腕動脈とその枝
20-21. 〃下肢
殿部,大腿前面・後面,下腿前面・後面,足,腰神経叢とその枝,坐骨神経とその枝,大腿動脈とその枝
22-25. 〃頭部
顔面浅層,鼻腔,上顎,下顎,咀嚼筋,口蓋,眼窩,副鼻腔,外頚動脈とその枝
26-29. 〃頭蓋深部
中耳,内耳,上頚神経節,脳神経の走行と知覚・副交感神経節
30-35.脳解剖脳・脊髄
脳外表(髄膜・終脳・間脳・中脳・橋・小脳・延髄),血管系,脳神経の根,大脳内側面,中脳全頭断面,大脳の内部構造,小脳,脳幹,脊髄の断面
36-41.口頭試問
中間および最終試問

評価

1. 実習試験(口頭試問+筆記), 2. 実習レポート提出 3. 実習スケッチ提出

教科書

解剖実習の手引き(南山堂),図解解剖学辞典(医学書院),イラスト解剖学(中外医学社),Gray's Anatomy(Churchill Livingstone),解剖学カラーアトラス(医学書院),ネッター解剖学アトラス(南江堂)

教科書を買う買わないは個人の自由であるが,解剖学の教科書を買わずに医学を学ぼうとすることは,海図をもたずに航海に乗り出すにひとしい.

連絡先

福井 義浩 (633-7052) kinouk@basic.med.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 月∼金 12:00∼16:00 (ただし事前にアポイントメントを取ること)

備考

1.担当者は,他に前田憲彦教授(広島大),相澤徹教授(武庫川女子大)である.
2.平成20年9月∼12月