基礎医学(2) / 生理学・生理学実習
教授・吉﨑 和男
目的
1. 人体生理学を習得させ,医学生に必要な科学的態度を養う.
2. 病態生理が理解できる能力を身につけさせる.
3. 生理学実習では自らの手で生理学実験を試み,生理学の理解を深めさせる.
概要
生理学は生命現象を物理化学的基礎と方法に基づいて究明する学問である.従って,一般生理学について広い観点から生物に共通する現象や法則性を述べる.さらに医師の育成が主目的であるから,一般生理学の基礎に立って人体生理学を解説する.人体生理学は,動物性機能と植物性機能に分けて把握されている.当教室では植物性機能を担当し,血液,呼吸,循環,腎体液,消化吸収,内分泌,エネルギー代謝および体温調節に関する生理学の基本的知識を理解させる.
授業方法
講義:板書,プリント,スライド,ビデオ,ポスター
実習:実習書,ビデオ,ポスター,実験,討論
カンファレンス:プリント,輪読,討論,発表
その他:自主課題実験
目標
1. | 人体における植物性機能が説明できる. |
2. | 体液,細胞,細胞膜の基本的特性が説明できる. |
3. | 血液組成とその機能が説明できる. |
4. | 呼吸運動とガス交換が説明できる. |
5. | 循環系の意義,心臓の機能,心電図,心音,血管系の機能,循環調節が説明できる. |
6. | 腎機能,体液量ならびに体液酸塩基平衡の調節が説明できる. |
7. | 消化吸収の機序が説明できる. |
8. | 内分泌腺ホルモンの生理機能が説明できる. |
9. | 人体エネルギー代謝ならびに体温調節の機序が説明できる. |
計画
回 | 大項目 | 中項目 | 内容 |
---|---|---|---|
1. | A.生理学講義(生理学総論) | 植物性機能 | 体液の恒常性 |
2. | A.生理学講義(生理学特論) | 一般生理 | 細胞,生体膜,生理学研究法(磁気共鳴法,分光学的研究法,電気生理学的研究法) |
3. | A.生理学講義(生理学各論) | 血液 | 血液組成,赤血球,ヘモグロビン,血液ガス,血液凝固,血液型 |
4. | 〃 | 呼吸 | 肺呼吸と換気作用,肺胞気と血液とのガス交換,呼吸調節,病的状態における呼吸 |
5. | 〃 | 循環 | 体液循環の意義,心臓のポンプ機能,心筋の特性,心周期,心電図,心音(心雑音),血管系(動脈,静脈,毛細血管)の機能,局所循環(肺循環,冠循環,脳循環など),循環調節 |
6. | 〃 | 腎体液 | 尿生成,腎小体および尿細管の機能,体液量および体液酸塩基平衡の調節,腎機能の調節,排尿 |
7. | 〃 | 消化吸収 | 消化管の運動,分泌,消化吸収とそれらに関与する神経とホルモン |
8. | 〃 | 内分泌 | 人体における内分泌腺(下垂体,甲状腺,上皮小体,膵臓,副腎,性腺等)と分泌ホルモン |
9. | 〃 | エネルギー代謝 | 人体エネルギー代謝体温調節 正常体温の生理学的意義,正常体温とその変動,体熱の産生と放熱,発汗,温度の受容と調節反応,運動等の体温調節,発熱 |
10. | B.生理学実習 | 血液に関する実習 | 血球数の算定,血色素の定量,ヘモグロビンの酸素平衡曲線,ヘマトクリット値 |
11. | 〃 | 腎体液に関する実習 | 人体における尿生成,浸透圧・自由水クリアランス,酸塩基平衡 |
12. | 〃 | 循環と呼吸に関する実習 | 人体における血圧,肺気量,心電図の計測,運動負荷 |
13. | 〃 | 心臓に関する実習 | カエル心臓の灌流実験,期外収縮,all or none law,Stannius 実験 |
14. | 〃 | 生体膜に関する実習 | 蛙皮膚の電位差測定,上皮膜における能動輸送,Ussing 装置による短絡電流測定 |
15. | C.生理学カンファレンス | グループ学習,討論 | 医学・生理学関連の課題学習,問題演習,名著論文・専門書の輪読など |
評価
生理学カンファレンス, 生理学実習およびその討論, 生理学実習レポートの提出, 生理学試験
教科書
教科書として,特に指定はしない.参考書は少なくとも1冊は常時所持して欲しい.
W. F. Ganong 著,Review of Medical Physiology,Lange Medical Publications の最新版は推薦できる.
連絡先
吉崎 和男 (633-7054) kyoshi@basic.med.tokushima-u.ac.jp
- オフィスアワー: 月∼金 8:30∼17:30 教室員
備考
担当者は吉崎教授以外に,分子細胞生理学教室の非常勤講師,実習ならびにカンファレンスでは他に稲垣明浩助教,北岡和義助教である.