2008年度 医学部 医学科 学部課程 — 2年(前期), 3年(前期)

基礎医学(2) / 生理学・生理学実習

教授・勢井 宏義

目的

1. ヒトおよび動物の正常状態における生体機能の調節・制御,情報伝達・処理,適応行動,高次機能などについて,神経・筋系が果たす役割を理解する.
2. 生体が異常な状況にさらされた場合の反応から,その病態生理における神経性要因の関与について理解できる能力を身につける.

概要

われわれが外界の状況を認識したり,必要な運動を行ったり,高次神経活動を展開したりする神経生理学的基盤を理解するために,まず基本的な神経・筋・シナプスの働きを学ぶ.さらに中枢神経系(脳・脊髄)の機能,感覚・運動機能,本能・情動行動および高次神経活動について学ぶ.実習では動物実験および人間を被験者とする項目の実習と観察に基づいて生理学の概念や講義内容が理解できることを目指している.

授業方法

講義:板書,プリント,パワーポイント

実習:テキスト配布

演習:スモールグループによるカンファレンス形式で課題を与えて問題解決能力を養う.

目標

1.神経系が,ホルモン系と共に生体機能の全身的調節に果たす役割を説明できる.
2.神経系の構成要素であるニューロンの働きについて述べることができる.
3.シナプスの種類とその作用を述べることができる.
4.反射の構成要素である受容器,中枢,効果器それぞれの機能的意義を説明できる.
5.オシロスコープ,電気刺激装置を操作し,神経筋標本から活動電位を観察できる.
6.神経系において電気生理学的に記録できる代表的な電位を挙げ,説明できる.
7.脳電図(脳波)について述べることができる.
8.脳の主な働きを説明できる.
9.主要な末梢・中枢神経系異常の病態生理を説明できる.

計画

大項目中項目内容
1.神経生理学総論神経生理学序説
学問の系譜,位置づけ,神経系の構成
2. 〃神経・筋・シナプス
興奮性膜,興奮と伝導,筋肉とその収縮,シナプス伝達,神経・筋接合部での伝達
3.神経生理学各論感覚
体性感覚(痛覚),聴覚,平衡感覚,視覚
4. 〃運動
筋と運動ニューロン,脊髄反射,姿勢反射,除脳固縮と脳幹の促進系・抑制系,大脳皮質運動野と大脳基底核,小脳
5. 〃本能・情動行動
視床下部・辺縁系
6. 〃高次神経活動
大脳皮質活動とその調節,睡眠覚醒,学習,記憶,体内時計
7.神経生理学実習動物性機能(高次神経活動,神経・筋,感覚に関連したもの)
1.オリエンテーション
2.脳波と大脳誘発電位
3.ヒトの運動神経伝導速度の測定
4.誘発筋電図(H,M 波)
5.睡眠
6.視覚・触覚に関する実験
8.スモールグループ・カンファレンス形式による神経生理学演習(前年度の例) 睡眠・生体リズム
ストレス・情動・自律神経脳の可塑性・記憶・学習
中項目に関連した学習課題をグループ討議により決定し,小項目とする.

評価

1. 実習レポートの提出, 2. 神経生理の総論試験(筆記), 3. 動物性機能全般試験(筆記), 4. 生理学カンファレンス・パネル発表

教科書

特に指定しないが,下記程度のものを用意してほしい.

Guyton,A. 「Textbook of Medical Physiology」 W. B. Saunders Co.

連絡先

勢井 宏義 (633-7056) sei@basic.med.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 月∼金 17:00∼19:00(不在の時もある)

備考

講義の担当者は勢井宏義教授,近久幸子助教,藤木通弘助教および学内各分野の専門教員である.実習は勢井宏義教授,近久幸子助教,妹尾広正助教および藤木通弘助教が担当する.