2008年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

歴史と文化 / ヨーロッパ世界の展開

History and Culture / Early Modern History of Europe

平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化 / ヨーロッパ世界の展開』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『外国史 / ヨーロッパ世界の展開』

教授・佐久間 亮

2単位

 火(1・2) 全(全)

授業の目的

高校までの歴史の勉強では,年号,人名などの暗記に四苦八苦してきたこととおもう.だけど,歴史の醍醐味は,教科書に書かれている事実をひたすら修得することではなくて,歴史上の事実をさまざまな視点から位置づけ,評価しなおしてみることにある.だから,歴史を見る人それぞれの立場で,教科書とは別のいろいろな歴史を描くこともできるのである.この授業では ヨーロッパの近代史(16世紀∼18世紀)を概論するが,いろいろな観点から歴史を描くことができること,その一例を示すことを目的とする.

授業の概要

ヨーロッパ近代史がどのような過程を経て今日の世界のようになったのかについて,二つの見方を提示したい.一つは,ヨーロッパの近代史は,その当初からヨーロッパ以外の世界との関係をもつことではじめて成立したのだということ.つまり,ヨーロッパ近代史はヨーロッパ内部で起こった出来事を羅列すれば理解可能だと考えないということである.もう一つは,ヨーロッパと外部世界をむすびつけたモノを重視して歴史を眺めるということである.とりわけヨーロッパ近代史にとって重要なのは植物資源であった. 紅茶やコーヒーに砂糖やミルクを入れて飲むという喫茶の習慣は,ヨーロッパにもともとあったのではなく,むしろ,ヨーロッパ人がこの風習を身につけていく過程こそがかれらの近代史なのである.そして,これらの重要な植物資源を求めて,ヨーロッパ人は外部世界との結びつきを深めていく.なぜならば,これらの重要な資源はいずれも熱帯植物であり,ヨーロッパでは生育しないモノばかりだったからである.

キーワード

世界システム,異文化接触,近代化,植物資源,喫茶文化

関連科目

生活と社会 / 国際政治学入門,歴史と文化 / 中東経済入門(歴史と文化基盤),歴史と文化 / 20世紀前半の中国

受講者へのメッセージ

大学受験で世界史を選択した者を想定して授業をすすめる.そうでない者は,あらかじめヨーロッパの近代史に関する概説書を読んでおくことが望ましい

到達目標

1.現代社会の成り立ちを歴史的なパースペクティブから理解できる
2.歴史像の多様性について理解を深める

授業の計画

1.ヨーロッパ近代の幕開け-ルネッサンス,宗教改革,大航海時代-
2.胡椒をもとめて(1)-レコンキスタと黄金-
3.胡椒をもとめて(2)-ヨーロッパとアジア,アメリカの接触-
4.コロンブスの交換(1)-植物の大移動-
5.コロンブスの交換(2)-プラント·ハンターの時代-
6.砂糖はコーランにしたがう(1)-イスラム教徒と魅惑の白砂糖-
7.砂糖はコーランにしたがう(2)-十字軍とヴェネチアの商人-
8.砂糖はコーランにしたがう(3)-地中海から大西洋へ-
9.砂糖はコーランにしたがう(4)-カリブ海地域の運命-
10.ヨーロッパ喫茶文化の成立
11.『ロビンソン·クルーソ』とイギリスの西方植民
12.エコロジー危機としての16世紀
13.イギリス「商業革命」(1)-「ピューリタン革命」とカリブ海植民地-
14.イギリス「商業革命」(2)-産業革命への道-
15.全体のまとめ
16.期末試験

成績評価の方法

受講態度と,学期末テスト(論述形式)で評価する.

再試験の有無

再試験はおこなわない.

教科書

教科書は使用しない.適宜プリントを配布して授業をすすめる.

参考書

参考書はその都度紹介する.

連絡先

佐久間(2327, 088-656-7152, sakuma@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜日 12時∼13時