生活と社会 / 魔術からの解放の再魔術化
Living and Society / Reenchantment of Disenchantment by Max Weber
平成19年度以前の授業科目:『生活と社会 / 魔術からの解放の再魔術化』
平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『社会学 / 魔術からの解放の再魔術化』
教授・吉田 浩
2単位
金(9・10) 全(全)授業のタイプ
講義
授業の目的
西欧の歴史において魔術という非合理的要素から社会と個人が解放される過程を合理化として捉え,この合理化の進展と完結の経過を研究したのは,社会学者マックス・ウェーバーであった.魔術から解放されるということが,科学的思考の前提となることはいうまでもない.しかしそれはあくまでも前提であって,それだけで即座に科学的思考が成り立つものではない.魔術からの解放としてのウェーバー合理化論の問題性を検討しつつ,魔術から区別される科学,それもより深い科学的見地はいかなるものかを検討していきたい.
授業の概要
ウェーバーは魔術からの解放過程=合理化を完結させたのはプロテスタントであったと看做すのだが,そのプロテスタントが中心となって行った魔女狩りという狂気を踏まえるならば,彼らが合理化を完結させたといえるのか否かが問題となってくる.本講義は,この問題を第一に検討する.次いでウェーバーの科学論は対象を一面的に捉える抽象的なものであることを明らかにする.にもかかわらずこの抽象的で一面的な研究成果を正しいと主張する限り,そこからは科学の名の下に新たな幻想的事態が産出されることになっており,従ってそれは「魔術からの解放の再魔術化」であることを明らかとしていく.
キーワード
魔術,宗教,合理化,魔女狩り,科学,魔術からの解放の再魔術化
到達目標
1. | 魔術からの解放ということを大前提として,その上で合理的思惟,科学的思考に必要な諸条件を確認するのである |
授業の計画
1. | ウェーバー合理化論の問題点の確認 |
2. | 同上 |
3. | 合理化過程の完結者としての,また魔女狩りの遂行者としてのプロテスタントの二側面 |
4. | 同上 |
5. | 対象に就くことと対象への就き方 |
6. | 対象を比較において捉える立場の二類型 |
7. | 同上 |
8. | 質的把握の問題点と異常な非合理的体験 |
9. | 同上 |
10. | 理解社会学と異常な非合理的体験 |
11. | 同上 |
12. | 宗教と魔術とを区別することの問題点 |
13. | 同上 |
14. | 〃 |
15. | 試験 |
16. | 総括授業 |
成績評価の方法
学期末試験,小レポートで総合的に評価する.学期末試験(60%),小レポート(40%)
再試験の有無
有
教科書
吉田浩著,『ウェーバーとヘーゲル,マルクス』(文理閣,2005年)の第7章.ただし本書ははなはだ高価(4800円+税)であるので,本書を購入できない学生にはコピーして教科書として渡す
参考書
吉田浩著『ウェーバーの社会理論と意味・価値問題』(晃洋書房,2008年1月)
WEBページ
連絡先
- オフィスアワー: 金曜日12時∼13時 吉田研究室