2008年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

自然と技術 / ゼミナール「セレンディピティと薬学」

Science and Technology / serendipity in pharmacy

平成19年度以前の授業科目:『自然と技術 / ゼミナール「セレンディピティと薬学」』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『自然科学ゼミナール / ゼミナール「セレンディピティと薬学」』

助教・宮本 和範

2単位

 水(9・10) 全(全)

授業の目的

生命を構成する核酸,たんぱく質,脂質,糖はすべて有機化合物から構成されており,生命現象は有機化学の言葉で理解することができる.従って,病気を治す薬の開発には,またなぜ薬が効くかを知るためには,根底にある有機化学を学習することが非常に重要になる.薬の発明にも当てはまるが,有機化学における重要な発見を紐解いてみるとそのほとんどはセレンディピティーによってもたらせられている. このセレンディピティーすなわち「思ってもみなかった物事や追い求めていた目的への道を偶然と洞察力によって発見すること」についての学習を通じて,薬学および有機化学に果たしたセレンディピティーの役割について考える.

授業の概要

配布するプリントや参考書を基に有機化学の飛躍的な発展や画期的な新薬の開発をもたらしたセレンディピティーについて概説します.また,受講生にはグループごとに自主的にテーマを選択して調査し, レジメにまとめ,発表することを求めます.

キーワード

クラウンエーテルの誕生,超分子の化学,夢の添加剤シクロデキストリン,ヒドロホウ素化,炭素-炭素二重結合形成反応,サルファ剤の発明,ペニシリン,セファロスポリン,シクロスポリンの開発,超原子価化合物の化学,フリーデルクラフツ反応

到達目標

1.実験や研究に興味を持ち,新しい発見を見逃さない心構えを持ってもらうこと.有機化学の研究の面白さはセレンディピティーにあることを知り,薬を作る研究者への道に対する興味を持つようになることを目標とします.

授業の計画

1.クラウンエーテルの発見の経緯
2.超分子化合物の化学
3.夢の添加剤-シクロデキストリン-の化学
4.超原子価化合物の世界
5.ヒドロホウ素化と炭素ー炭素二重結合形成反応の発見
6.フリーデルクラフツ反応の発見と功績
7.有機化学を生んだ尿素合成
8.学生発表と討論(1)
9.学生発表と討論(2)
10.学生発表と討論(3)
11.学生発表と討論(4)
12.学生発表と討論(5)
13.学生発表と討論(6)
14.学生発表と討論(7)
15.学生発表と討論(8)
16.総合討論

成績評価の方法

出席およびゼミナールでの討論,発表内容で評価します.

再試験の有無

無し

教科書

特に必要ありません.プリント配布を予定しています.

参考書

安藤喬志訳「セレンディピティー」化学同人 1993年 2,800円

上野昭彦「超分子の化学」産業図書 1993年 1,700円

連絡先

宮本(088-633-9532, kmiya@ph.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: いつでもどうぞ