系統別病態診断 (PBLチュートリアル・臓器疾患別講義)
教授・金山 博臣
目的
PBLチュートリアルでは,学び方を学び,臨床推論を含めた問題解決能力を習得する.また,基礎医学と臨床医学の知識が有機的な連関をもった,使える医学知識を与えられるのではなく能動的に習得する.さらに,グループ学習でコミュニケーション能力を向上させる.
臓器疾患別講義では,それぞれの臓器疾患について,診療科の枠組みを超えて,共通の病態として学び,PBLチュートリアル授業での知識を充実させ,また,その不足分を補う.
概要
1)循環器コース,2)内分泌・代謝コース,3)血液コース,4)消化器コース ,5)呼吸器コース,6)アレルギー・自己免疫コース,7)腎・尿路・男性生殖器コース,8)神経・精神・行動コース,9)運動器コース,10)周産期・小児・女性生殖器コース,11)皮膚・感覚器コースからなる.
1) 系統別病態診断の全体像:PBLチュートリアル授業による少人数グループの自学自習教育(症例に基づく問題解決型教育方式)および臓器疾患別講義による伝授型座学教育の2つの方式を併用した統合型の教育カリキュラムである.この統合型教育カリキュラムでは,学習内容の連関性を重視し,「学習内容の有機的な結びつきが形成されること」に留意したプログラムが設定されている.PBLチュートリアル授業により,限られた時間を有効に活用して医学知識を自発的・能動的に学ぶとともに自ら問題点を発見し解決できる能力を身につける.一方,臓器疾患別講義では,各コースに関連した領域についての講義が行われ,PBLチュートリアル授業での知識を充実させ,また,不足分を補う.
2)PBLチュートリアルの概略:PBLチュートリアル授業の進め方の概略は以下の通りである. チューターが加わるチュートリアル授業は週に3回(各90分)あり,1回目のチュートリアルで は,課題(症例)の呈示,課題における問題点(疑問点,論点)の抽出,仮説の立案,学習方法の立案が行われる. 2回目のチュートリアルでは,自学自習で調べてきた内容の発表と討論が行われ,問題点を解決し,整理をする.さらに,課題(症例)に関して追加の資料がチューターから呈示され,解決できていない問題点を次のチュートリアルまでに調べる. 3回目のチュートリアルでは,発表と討論,問題点の解決・整理の後で,課題(症例)に関して追加の資料呈示があり,さらに発表と討論,問題点の解決・整理を行った後に,まとめと自己評価が行われる.
3)臓器疾患別講義の概略:講義は関連する分野が協力して実施し,その内容は,並行して行うPBLチュートリアル授業の課題に関連した領域を含め,それぞれのコースにおいて学生が修得すべき到達目標を意識した内容になっている.ただし,PBLチュートリアルは問題解決に基づく自己決定型学習が基本であるため,臓器疾患別講義において,その解答を提示するものではない.
授業方法
系統別病態診断では自学自習が原則である.参考となる教科書等はコースごとのシラバスやPBLチュートリアルで呈示される.各チュートリアル室に主な教科書等が置かれている.図書館での文献検索,インターネットの活用もされるべきである.また,学習指導教員(リソース・パーソン)が各コースに配置されている.一定の受付時間(オフィス・アワー)を設定されていることもあるので予め調べてから訪問すること.臓器疾患別講義は課題に関連する領域の内容となっているので,講義中に積極的に質問するように心がける.
目標
1. | 各コースごとに設定される. |
評価
系統別病態診断での評価は,コースごとに実施される試験(コース試験)の成績とPBLチュートリアルにおけるチューター評価の評価点(グループ討論への参加,課題の学習とその発表,自己学習状況,ポートフォリオなどが評価の対象となる)で総合的に判定される.一つのコースに不合格でも進級することはできない.
自学自習が原則であるため,各コースの到達目標・行動目標に挙げた学習項目については,PBLチュートリアルや臓器疾患別講義において講義が実施されていなくても,試験の出題範囲に含まれる.また,臨床医学入門における学習項目ならびに講義内容については,原則として関連するコースの試験出題範囲に含まれる.