2009年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

人間と生命 / 声に出して読みたい教育哲学

Humanity and Life / The Lecture of Reading aloud the Educational Philosophy

平成19年度以前の授業科目:『人間と生命』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『人間と生命 / 声に出して読みたい教育哲学』

助教・弘田 陽介

2単位

 火(9・10) 全(全)

授業の目的

歴史的に<教育哲学>と呼ばれる営みは,「生きている実感」を言葉で伝えることを根本的な課題としてきた.教育を語る哲学者・思想家は,ただ文字においてその言葉を記すのみならず,大人や子供,そしてまだ見ぬ人々に理論にならざる「熱」のようなものを伴って語っているように思われる.本授業では,理論的には矛盾を孕むような教育や人間の変容を語る言葉を特に選び,それを参加者と一緒に朗読し,読みの集注を深めていくという形の新しいスタイルの授業を行いたい.

授業の概要

授業の前半は,近代的な読書<黙読>という様式によって,ほとんど学問的世界からは失われてしまった<朗読>という営みのあり方を歴史的にたどる.かつての人々が感じていたような「テクストの経験」といったものを想像することからこの授業を始めてみたい.それ以降は,実際に読めば読むほど深みが出てくるようなテクストを,担当者を毎回決めて朗読することによって,単なる一義的な意味による読解ではなく,意味の衝突が生み出していくような集注経験を味わっていきたい.

キーワード

朗読,教育哲学,テクスト,経験

受講者へのメッセージ

授業内で毎回,担当者を決めて朗読を行います.前もっての準備は大変かもしれませんが,本を読むという根本的な学問的営みに変化が出てくることを期待します.恥ずかしがらないでやっていきましょう.

到達目標

1.教育および哲学の古典文献を丁寧に朗読していくことを目標とする.もちろん文節や意味の区切りなど正確に発声することはもちろんであるが,それだけではなく,文章を通して,それが生み出していく集注の世界を経験することが最大の眼目である.

授業の計画

1.イントロダクション
2.読書という経験ー 近代の読書の特性
3.読書という経験ー 西洋中世および日本近世の読書
4.読書という経験ー その集注経験
5.子どもの絵本を読む
6.童話を読む
7.教育を語る言葉を読む
8.宗教を語る言葉を読む
9.美を語る言葉を読む
10.日本の古典を読むー 世阿弥
11.日本の古典を読むー 芭蕉
12.日本近代の名文を読む 森有正
13.翻訳文読み比べ ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
14.英語およびドイツ語文献の朗読
15.レポートの発表と提出
16.総括授業

成績評価の方法

小発表など授業への取り組みを評価(60点).学期末レポート(40点).

再試験の有無

教科書

プリントとして授業中に配布

連絡先

弘田(yhirota@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: Eメールアドレス byu00616@nifty.com