2009年度 先端技術科学教育部 環境創生工学専攻 化学機能創生コース 博士前期課程

物理化学特論

Advanced Physical Chemistry

教授・田村 勝弘, 教授・魚崎 泰弘, 講師・鈴木 良尚

2単位

形態

講義

目的

溶液中で起こる様々な物理化学的現象,特に溶媒和,結晶成長,生体モデル膜の相転移および環境汚染物質のバイオアッセイというトピックスを通して,物理化学の基礎的な原理と実際の現象との結びつきについて理解を深める.

概要

(溶媒和)液体中で化学反応を研究することが多い.それらの反応で,溶媒和が大きく関与するが,定量的に理解することは困難な場合が多い.そのため,統計力学に基づく「溶媒和熱力学」を導入して溶媒和を理論的に解釈する手法について講述する. (結晶成長)結晶成長学は,材料設計や構造解析に対し重要な役割を果たしている.その結晶成長学を通して,平衡状態の熱力学,反応速度論,表面界面の化学などについてより深く学ぶ. (生体モデル膜の相転移および環境汚染物質のバイオアッセイ)会合ミセル,生体モデル膜などの分子集合体の物性やこれらの系内における生体反応を含む種々の化学反応について講述する.研究手段として利用する熱測定,高圧力などについても基礎·応用の両面にわたって解説する.また,以上の分野の最近のトピックスや環境汚染問題などへの応用も織り込みながら講義を進める.

キーワード

溶媒和,結晶成長,生体膜,バイオアッセイ

先行科目

基礎物理化学

要件

学部教育における物理化学を理解していること.

目標

1.溶媒和現象の基礎を理解する
2.結晶成長学の基礎を理解する
3.分子集合体の概要を把握させる.熱測定の基礎の理解を深める.
4.環境汚染計測としてのバイオアッセイの理解を深める.

計画

1.(溶媒和)統計力学と熱力学
2.(溶媒和)化学ポテンシャル
3.(溶媒和)溶媒和熱力学
4.(溶媒和)溶媒和エネルギー
5.(溶媒和)イオン溶媒和
6.(結晶成長)相変化の熱力学
7.(結晶成長)結晶の誕生
8.(結晶成長)理想的成長
9.(結晶成長)表面構造とラフニング
10.(結晶成長)表面kinetics
11.会合コロイドの性質·ミセル触媒反応
12.熱測定の基礎·生化学におけるカロリメトリー
13.微生物活性の測定·微生物の増殖サーモグラム
14.環境汚染計測への応用
15.ガス加圧法を利用した気体のバイオアッセイ

評価

授業中に課すレポート100%で評価する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

講義中に適宜紹介する

参考資料

齋藤幸夫著 結晶成長(裳華房フィジックスライブラリー)

連絡先

田村(化509, 088-656-7416, tamura@chem.tokushima-u.ac(no-spam).jp)