2009年度 医学部 保健学科 看護学専攻 学部課程 保健学科.看護学専攻 — [選択] 3年

子どものメンタルヘルス

Mental health care in children

教授・二宮 恒夫, 教授・郷木 義子

1単位

目的

子どものこころの問題が増加している.子どものこころの問題は,対人関係の障害に起因するこころの発達の歪みと捉えられる.そこで,主に心身症とPTSD(外傷後ストレス障害),子どもの虐待をとりあげ,症状の特徴,要因を理解し,子どもを発達支援の視点,すなわち子どもの発達の基本的要素である信頼関係を確立し,子どもに自信をとりもどさせるように対応することの大切さを学習する.

概要

教科書を中心に,適宜プリントを配付し講義する.また,子どものこころの問題について,新聞記事などから具体的テーマをとりあげ,討議し感性を養う.

キーワード

子どものこころの問題,心身症,PTSD,子どもの虐待,地域ネットワーク

注意

子どものこころの問題に感心をもって受講してほしい.参考図書を積極的に活用してほしい.講義以外のことでも尋ねたい点があれば,毎回の講義に配布する理解度チェック票の余白を利用して下さい.

目標

1.1)子どものこころの問題の捉え方を説明できる. 2)主な心身症の症状を説明できる. 3)対人関係において生じやすい障害の内容を説明できる. 4)PTSDの症状と,子どもの年齢の違いによるPTSDの症状の特徴を説明できる. 5)PTSDの要因(特に虐待)について説明できる. 6)子ども·家族に対する発達モデルによる支援の基本的態度を説明できる. 7)保育所·幼稚園,学校と連携した支援方法を説明できる.

計画

1.子どものこころの問題の捉え方
2.こころの問題の発症要因,前駆症状
3.乳幼児期の主な心身症(チックなど)の症状と対応
4.学童期の主な心身症(夜尿症など)の症状と対応
5.思春期の主な心身症(摂食障害など)の症状と対応
6.思春期の反社会的行動などの対応
7.心身症発症につながる家庭,学校における対人関係
8.PTSDの診断基準,子どものPTSDの年齢別特徴
9.PTSD発症の要因(大切な人の死,事故,虐待,DVの目撃など)と対応
10.子どもの虐待の年齢別症状,後遺症
11.子どもの虐待の早期発見·介入
12.子どもの虐待の地域ネットワークによる対応
13.子どもの虐待の医療·保健分野のおける予防
14.子ども·家族に対する発達モデルによるこころの問題への支援
15.保育所·幼稚園,学校との連携によるこころの問題への支援
16.試験

評価

筆記試験により評価する.

教科書

二宮恒夫:子どものこころ支援マニュアルー学校·地域·医療の連携,徳島県医師会,500円.プリントも適宜配付する.

参考資料

(感心のある方には貸し出しも可能) 1)下山晴彦,丹野義彦(編):講座臨床心理学,東京大学出版会,2001. 2)高橋三郎(訳):DSM-IV 精神疾患の分類と診断の手引き. 医学書院,1997. 3)高木俊一郎:小児精神医学の実際. 医学書院,1981. 4)吾郷晋浩,生野照子,赤坂徹(編):小児心身症とその関連疾患. 医学書院,1992. 5)小児心身症対策の推進に関する研究班(編):子どもの心の健康問題ハンドブック. 平成14年度厚生科学研究(子ども家庭総合研究事業),2002. 6)こども心身医療研究所(編):小児心身医学.朝倉書店,1995. 7)鑪 幹八郎:アイデンティティの心理学. 講談社,東京,1993. 8)中井久夫(訳):心的外傷と回復. みすず書房,東京,1997. 9)浜畑利美江,寺師 榮:多重外傷後の外傷後ストレス症候群の看護ケア. 小児看護,2001. 10)財団法人 母子衛生研究会:子ども虐待-その発見と初期対応-. 母子保健事業団,東京,1997. 11)津崎哲郎:子どもの虐待-その実態と援助-. 朱鷺書房,大阪,1996. 12)西澤 哲(訳):虐待を受けた子どものプレイセラピ-. 誠信書房,東京,1997. その他,適宜紹介する.

連絡先

ninomiya@medsci.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 二宮教員研究室(保健学科3階),昼食時あるいは17時∼18時