2009年度 医学部 保健学科 看護学専攻 学部課程 保健学科.看護学専攻 — [選択] 4年

看護倫理

Medicine and Bioethics

教授・岸田 佐智, 教授・田村 綾子, 講師・谷 洋江, 助教・千葉 進一

1単位

目的

医療のめざましい進歩によって多大な恩恵がもたらされている一方,看護倫理に関する問題が増加している.日々の医療行為には,いつも倫理的問題が潜んでいると言っても過言ではない.倫理的問題は,患者を傷つける医療人の日々のなにげない行動や言葉から,高度な医療に伴う問題までさまざまである.種々の看護倫理に関する問題をとりあげ,医療行為を行うにあたって,倫理(正直であること),マナー(責任と思いやり)をもって患者に対応することが,看護者にとって最も基本の態度であることを学習する.

概要

プリントを適宜配付する.医療現場で生じる倫理的諸問題には正解はありえない.これらの問題点を具体的に整理し,討議を取り入れ,考える訓練を積み重ね思考力を磨く.

キーワード

患者の権利,インフォームド·コンセント,医療過誤,生殖補助技術,脳死

注意

医療倫理に関し,問題意識をもって受講してほしい.

目標

1.患者の権利とインフォームド·コンセント(説明と同意)の本質を理解できる.日常の医療行為に潜む倫理的問題を理解し,整理し,自分の考えを述べることができる.

計画

1.患者の権利
2.子ども·胎児の権利
3.医療におけるパターナリズムとオートノミーの違い
4.インフォームド·コンセントの基本理念
5.インフォームド·コンセントー患者と共同で治療プランを作成するプロセスー
6.セカンドオピニオン
7.インフォームド·チョイス,インフォームド·ディシジョンとは
8.医療情報の開示ー医療情報は患者のものー
9.医療過誤の具体例
10.医療過誤の防止ー情報開示ー
11.医療過誤の防止のための医療のシステム化
12.薬害エイズ―最大の資料隠蔽事件はなぜ生じたか―

評価

学期末試験(50%),レポート(50%)により総合的に評価する.レポートは医療倫理に関するテーマをひとつ選び,その問題点についての自分の考えを800字程度にまとめる.

教科書

プリントを適宜配付する.

参考資料

「生命倫理を考える DISCUSSIONS IN BIOETHICS 終わりのない8編の物語」

(感心のある方は貸し出しも可能) 上原鳴夫,赤津晴子(訳):患者の権利,日本評論社,2002年. 野田亮,野田洋子(訳):人体市場,岩波書店,2002年. 星野一正:医療の倫理,岩波書店,2000年. 斉藤隆雄(監修):生命倫理学講義,日本評論社,1998年. 石井トク:看護と医療事故ー対応,分析,防止ー,医学書院,2001年. 藤田康幸:医療事故対処マニュアル,現代人文社,2000年. 李 啓充(訳):医者が心をひらくとき(上,下),医学書院,2002年. 川村治子:ヒヤリ·ハット報告が教える内服与薬事故防止,医学書院,2002年. 石川寛俊:医療と裁判,岩波書店,2004年. レオンRカス(堤理華訳):生命操作は人を幸せにするのか,日本教分社,2005年. 上村芳郎:クローン人間の倫理,みすず書房,2003年. 岡本裕一郎:生命·環境倫理学,ナカニシヤ出版,2003年.