2009年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 2年(後期)

2009年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — [必修] 2年(後期)

衛生薬学 2

Pharmaceutical Health Sciences 2

准教授・田中 保

1単位

形態

講義

目的

衛生薬学とは「薬学分野における,生(命)を(衛)るためのサイエンス」である.このことを理解させ,その重要性を教える.そのうち,衛生薬学2では,人間の生存に悪影響を及ぼす諸因子について,特に環境および食品中に含まれる化学物質を中心にその毒性や予防,除去などを教授する.

概要

衛生薬学の重要性を理解させる.有害な化学物質の悪影響を回避するため,化学物質の毒性などに関する知識を習得させる.食品を介した身体への悪影響を回避するため,食品の安全性と衛生管理などに関する基本的知識を修得させる.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC-11- (1) に相当

注意

衛生薬学は創薬科学,医療薬学とともに薬学の第三の柱を構成する重要な科目の一つである.本講義を通じて,将来,創薬あるいは医療の専門家にとどまらず,日常の社会生活においても国民の健康を守る担い手であることを自覚してもらいたい.

目標

1.化学物質の代謝・代謝的活性化
  1. 代表的な有害化学物質の吸収,分布,代謝,排泄の基本的なプロセスを説明できる.
  2. 第一相反応が関わる代謝,代謝的活性化について概説できる.
  3. 第二相反応が関わる代謝,代謝的活性化について概説できる.
2.化学物質による発がん
  1. 発がん性物質などの代謝的活性化の機構を列挙し,その反応機構を説明できる.
  2. 変異原性試験(Ames試験など)の原理を説明できる.
  3. 発がんのイニシエーションとプロモーションについて概説できる.
3.化学物質の毒性
  1. 肝臓,腎臓,神経などに特異的に毒性を示す主な化学物質を列挙できる.
  2. 重金属,農薬,PCB,ダイオキシンなどの代表的な有害化学物質の急性毒性,慢性毒性の特徴について説明できる.
  3. 重金属や活性酸素による傷害を防ぐための生体防御因子について具体例を挙げて説明できる.
  4. 毒性試験の結果を評価するのに必要な量・反応関係,閾値,無毒性量(NOAEL)などについて概説できる.
  5. 化学物質の安全摂取量(1日許容摂取量など)について説明できる.
  6. 有害化学物質による人体影響を防ぐための法的規制(化審法など)を説明できる.
  7. 環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)が人の健康に及ぼす影響と,その予防策について説明できる.
4.化学物質による中毒と処置
  1. 代表的な中毒原因物質の解毒処置法を説明できる.
5.食品の品質と管理
  1. 食品が腐敗する機構について説明できる.
  2. 油脂が変敗する機構を説明できる.
  3. 食品の褐変を引き起こす主な反応とその機構を説明できる.
  4. 食品の変質を防ぐ方法(保存法)を説明できる.
  5. 食品成分由来の発がん物質を列挙し,その生成機構を説明できる.
  6. 代表的な食品添加物を用途別に列挙し,それらの働きを説明できる.
  7. 食品添加物の法的規制と問題点について説明できる.
  8. 代表的な保健機能食品を列挙し,その特徴を説明できる.
  9. 遺伝子組み換え食品を説明し,その現状を概説できる.
6.食中毒
  1. 食中毒の種類を列挙し,発生状況を説明できる.
  2. 食中毒の原因となる自然毒を列挙し,その原因物質,作用機構,症状の特徴を説明できる.
  3. 代表的なマイコトキシンを列挙し,それによる健康障害について概説できる.
  4. 化学物質(重金属,残留農薬など)による食品汚染の具体例を挙げ,人の健康に及ぼす影響を説明できる.

計画

1.授業ガイダンス
2.食品の化学
3.食品衛生の目的
4.食中毒(1)
5.食中毒(2)
6.食品添加物
7.食品の安全性(1)
8.食品の安全性(2)
9.異物の吸収
10.異物代謝(1)
11.異物代謝(2)
12.異物代謝を左右する因子
13.毒性物質と毒性発現機構(1)
14.毒性物質と毒性発現機構(2)
15.総復習
16.定期試験

評価

学期末試験を重点に出席などを考慮して総合的に評価する.

再評価

実施する.

教科書

「衛生薬学」佐藤政男他三名(共著)南江堂 7000円+税 本教科書は衛生薬学2の他に衛生薬学1および環境薬学でも使用する.

連絡先

(研究室)薬学部・衛生薬学研究室(本館3階西)
(Eメールアドレス)tanakat@ph.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 特に設けていない.いつでもどうぞ.