国際文化基礎演習 (その2)
目的
現代世界の抱える諸問題から一つのテーマを選び出し,それをめぐって共同で調査し,それにもとづいて報告,討論を行う「能動的に参加し,互いに学び合う」少人数型授業です.自分たちで資料を見つけ出し,得られた情報を整理して報告にまとめ,活発に討論を行うという,現代の社会人に必須の技法も学びます.また,「情報処理演習」で学んだ技法をプレゼンテーションにおいて生かす場でもあります.
概要
この科目は(火)1・2講時と(水)5・6講時に開講されます.どちらの時間も前期最初の3回は,年間共通テーマについて,問題提起と資料紹介のための導入講義を行います.今年度の年間共通テーマは「ワーキングプアと現代の貧困」です.導入講義は吉田浩先生が担当します.第4回は,講義の補足や質疑応答の時間を経て,受講者は三つのクラスに分かれ,演習形式の授業にはいります.第5回からは,各クラスで,年間共通テーマの枠内で具体的なテーマを選び,受講生主体で調査・研究を行います.一定の準備期間を経て学期の後半にはクラスの中で報告と討論を行います.これらは期末の合同発表会の準備を兼ねるものです.合同発表会では,3クラスの受講生とコースの教員が参加して質疑応答および「評価シート」による相互評価が行われます.以上の過程で各担当教員から,テーマの絞り方,資料の探し方,報告のまとめ方,口頭報告や討論のし方などについて様々に指導が行われるはずです.ですが,調査・研究,報告,討論のいずれも,あくまで受講生主体で行われるのだと考えてください. 以下は年間共通テーマと導入講義についての説明です: 今日の日本においては,すべては市場に委ねられ,競争から我々を守ってくれたさまざまの規制やセーフティネットは緩和されるか撤廃され,成果を競う寒々とした競争社会になってしまった.この競争社会からは必然的に勝ち組と負け組とが生じてきて,日本は格差社会となったということが多くの研究者,ジャーナリズムによって指摘され,報道されている.圧倒的多数の国民は負け組に属しているが,問題はこの負け組の実態である.そこには大量の失業者,100万を越える生活保護世帯,ホームレス,ネットカフェ難民が属している.労働者も,正規労働者と非正規労働者とに分断されている.非正規労働者にはパート,アルバイト,派遣労働者,請負労働者らがいるが,彼らの年収は300万,否120万の時代であって,彼らは生活保護世帯以下の生活を送るワーキングプアという層を形成している.逆に正規労働者には超長時間労働,超過密労働が課せられ,ここからも過労死,過労自殺という不幸な事態が多発している.このように今日の日本は,貧困問題が多岐多様にわたって拡大し深刻化してきていると共に,青年層の雇用が極端に困難になってきており,彼らの二分の一は非正規労働者である.そこでこの多様化する貧困問題,とりわけ青年層のそれを押さえつつ,なぜこのような惨めな事態が成熟し,それも世界第二位の経済大国である日本で生じてきたのか,その原因を探求していきたい.
キーワード
共同調査,口頭報告,討論,相互評価,非正規労働者
先行科目
注意
受講生が主体となる演習ですから,毎回出席し,報告(準備)や討論に積極的に参加すること.後期のクラス編成については9月末に掲示します.10月第1週には指定された教室に集まること.
目標
1. | テーマの選定,資料の収集・調査,情報の整理と口頭報告,討論などを不足なく行えること. |
計画
1. | 第1回: 前期の反省点と今後の演習の進め方についての確認 |
2. | 第2回-第4回: テーマ設定 |
3. | 第5回-第9回: 資料の収集・調査 |
4. | 第10回-第14回: 口頭報告と討論,発表会の準備 |
5. | 第15回-第16回: 合同発表会 |
評価
口頭報告の準備とプレゼンテーションの充実度,討論への参加の程度などの観点から総合的に評価します.
再評価
行いません.
教科書
特定の教科書は用いません.
参考資料
授業の中で随時,紹介します.
連絡先
備考
08年度後期に開講.