ドイツ言語文化研究II (その1)
准教授・井戸 慶治
2単位
目的
造形芸術(絵画・彫刻・建築)やそれに従事する芸術家が文学作品の中でどのように扱われているかということを,主として19世紀はじめから20世紀前半頃までのドイツ文学において考察する.
概要
ここで対象となる芸術には,ドイツのみならずヨーロッパ全体のものが含まれる.造形芸術を扱う文学のあり方はさまざまである.あるときは他種の芸術との差異が強調され,またあるときはそれらとの融合が論じられる.実在にせよ架空にせよ,芸術家は小説などの格好の素材•テーマとなる.作家たちはそのような取り組みから,彼ら自身の芸術(ポエジー)や芸術家としてのあり方について,有益なヒントを見出す.特定の芸術作品や芸術家を対象とした美学的批評もある.また,程度の差はあれ画才に恵まれた詩人•作家もいる.関連の芸術作品を視聴覚機器などで参照しながら,種々の文学作品を見てゆきたい.
キーワード
文学,造形芸術
注意
ドイツ言語文化研究IIは,8単位重ね読み可能な授業であるから,原則として,連続する2年間4期の授業のうち,複数の授業を修得してもすべて卒業に有効な単位となる.したがって,この4期の授業はそれぞれ内容的に異なるが,テーマは「ドイツ文学で扱われる芸術と芸術家」で一貫している.
目標
1. | 絵画や彫刻,芸術家に関するさまざまな考え方や感じ方が,文学においていかに表現されているかを知る. |
2. | 副産物として:作家たちの独自の見方を通して,芸術一般や特定の芸術作品に対する新しい目が開かれることがある. |
計画
1. | 以下のような作家•作品•テーマを扱うが,詳細については若干の変更もありうる.また,各項目の番号は扱う内容の順序を示しているが,必ずしも1回の授業の範囲を厳密に規定するものではない.1回目では,今後の授業方針の説明などをおこなう. |
2. | 初期ロマン派の造形芸術論 |
3. | 初期ロマン派の造形芸術論(その2) |
4. | ロマン派の画家たちの芸術論(フリードリヒ,ルンゲ) |
5. | ロマン派の画家たちの芸術論(カールス,ナザレ派) |
6. | ホフマン「G町のジェズイット教会」 |
7. | ホフマン「悪魔の霊液」 |
8. | メーリケ「画家ノルテン」 |
9. | ケラー「緑のハインリヒ」 |
10. | リルケとセザンヌ |
11. | リルケとヴォルプスヴェーデの画家たち |
12. | トーマス・マン「トーニオ・クレーガー」など |
13. | ヘッセ「画家のアトリエ」など |
14. | ヘッセ「ナルチスとゴルトムント」 |
15. | 予備 |
評価
レポートと授業への取り組みで総合的に評価する.
再評価
なし.
教科書
適宜プリントを配布する.
参考資料
授業中にプリントを配布し,視聴覚資料などを示し,参考文献の指示もおこなう.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日14時30分から16時まで.