2009年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 アジア文化 — 1年(前期), 2年(前期)

アジア史特論

教授・葭森 健介

2単位

目的

「地域」という言葉については様々な定義がされる.特にアジアにおいては「地域」は空間的広がり(実態概念)と共に,人的結合を考えるための方法概念としてとらえられてきた. 中国史研究における「地域」の概念を「共同体」「基層社会」との位相を理解し,アジア社会おける「地域」社会の実態とその子生ずる人的関係の持つ意味を考察し,地域社会の中で人間が生きるということの意味を自覚し,将来の人類社会のあり方を考える態度を身につけることを目標とする.

概要

東アジアの地域社会・基層社会の構造的特質を歴史的観点から明らかにし,その血縁的・地縁的共同性が果たす役割について考察する. 特に東アジアの地域社会・基層社会の構造的特質を歴史的観点から明らかにし,その血縁的・地縁的共同性が果たす役割について考察する.

キーワード

東アジア,地域社会,共同体,伝統社会

注意

予習復習が必要となるのでその点を心得ておいてほしい.

目標

1.東アジア史における地域社会や共同原理が歴史の発展に果たした作用,及び現代的な役割について理解する.

計画

1.アジア史における「地域」の視点
2.谷川共同体論が目指したもの
3.1981中国史シンポジウム「地域社会の視点」の意図と内容
4.「基層社会」の提起-シンポジウムでの葭森のこだわり
5.氏族共同体の崩壊と東洋的ディスポティズムの成立
6.後漢における豪族の領主化と共同体冀求運動
7.「清簡」と「威恵」-地域社会をふまえた国家の再生とは
8.「吏民」から「士庶」へ-一元的国家支配と地域の自治の関係
9.唐宋変革と地域社会
10.民衆反乱の構図-地域社会における古代中世的抵抗と近世的抵抗
11.ウェスタンインパクトと地域社会
12.東アジアにおける地域社会の位相-中国と日本
13.アジア的共同体と西洋の共同体-共同性の力とは
14.歴史から見た現代の地域社会
15.期末レポート報告
16.総括

評価

平常点とレポートによる.

再評価

特別の場合以外は行わない

教科書

教科書はないので,必要に応じプリントを配布する.参考書は授業の際に紹介する.

連絡先

葭森(アジア史研究室, 088-656-7156, yosimori@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: オフィスアワー:水曜日 12時30分∼13時30分,研究室:1号館中棟3階,メール:yosimori.@ias.tokushima-u.ac.jp