博物館特論
教授・東 潮
2単位
目的
博物館における民族文化の展示――北東アジア先住民文化の伝統と現代に関する調査・研究ならびに資料収集に基づいて――
概要
北東アジア地域,つまり中国東北部およびロシア極東のアムール川流域・サハリン島・カムチャッカ半島と北海道アイヌを含む先住民文化の継承と発展の拠点となっている博物館活動を中心に紹介し,博物館における民族文化の展示に関する諸課題について論述する.
キーワード
北東アジア,先住民文化,博物館展示
注意
講義は自らの現地調査を中心にする.現地の生活環境から切り離された博物館資料を用いた展示はどこまで現実の文化を表現し得るのか,また,先住民にとって博物館という自文化表象の場がいかに活用されているかなど,展示をめぐる諸課題について文化の担い手の立場からも考える必要が現代では求められていると思う.これらの点について講義の際に可能なかぎり受講者と意見を述べ合いたい.また,できるだけ現地で撮影した映像やスライドを用いて視覚的に理解できるように工夫したい
目標
1. | 北東アジア地域における先住民が現在自分たちの言語や技術伝統を次の世代に継承させていくための重要な場として博物館とその活動が存在することを理解してもらうことにある. |
計画
1. | 北東アジア地域の先住民 |
2. | 文化継承に対しての博物館活動 |
3. | 北海道のアイヌ民族と博物館 |
4. | アイヌの歴史と同化政策 |
5. | 中国の少数民族政策と博物館 |
6. | 中国大興安嶺の先住民オロチョン |
7. | 中国大興安嶺の先住民エベンキ |
8. | ロシア・アムール川先住民ナナイ |
9. | ロシア・アムール川先住民ウリチ |
10. | ロシア・サハリン島先住民ニヴフ |
11. | ハバロフスク州郷土博物館の展示 |
12. | ブラワ村の小さな博物館展示 |
13. | サハリン州郷土博物館の展示 |
14. | 日露関係とサハリン島先住民 |
15. | 観光と先住民文化 |
16. | 先住民文化に対する博物館のあり方 |
評価
リポートの提出による採点
再評価
おこなわない.
教科書
無
参考資料
『北太平洋の先住民交易と工芸』思文閣出版
備考
博物館特論の次回開講は22年度,博物館資料論は21年度に開講予定.