2009年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 経済社会 — 1年(後期), 2年(後期)

地域社会論III演習(社会組織論演習)

准教授・樫田 美雄

2単位

目的

現代社会では,経済のフレキシビリティが増大している(武川正吾『社会政策のなかの現代』東大出版会参照).このことに対応して,社会組織研究の対象も,官僚組織から非官僚組織に研究の主対象が変化してきている.本演習では,この非官僚組織の典型例として,医療と福祉に関する対人サービス場面を,そこにおけるコミュニケーション社会組織の観点から研究する.この領域は欧米の研究が進んでいるため,英語文献の購読とするが,適宜日本語文献および現実の日本のデータの解析も行い,社会学の力量をあげてもらおうと考えている.

概要

社会学の最前線-医療現場の会話分析を英語で読む-

キーワード

エスノメソドロジー,会話分析,医療社会学,バッド・ニュース・テリング,D.メイナード

注意

能力に合わせて進度調節はするが,努力しないものには学問が身に付くことはないのでその点で覚悟のあるものの履修を希望する.社会学はそれ自身ひとつの言語である.したがって,高校生レベルの英語辞書だけ引いてくるのではなく,邦文欧文のさまざまな社会学事典,専門諸学辞典を駆使する事前学習が重要である.みるべき辞書·事典に関しては,授業中に指示する.

目標

1.英語で社会学(会話分析)の専門論文が何とか読めて理解できるようになる.日本の対人サービスにおけるコミュニケーションに関してその主要な特徴が理解できるようになる.質的調査における調査手法について概要を知る.

計画

1.演習であるので,履修者各人が分担に応じて準備して発表することを基本とする.
2.なんとか半年で1冊終わらせたい.そのなかで,ひとつの調査·研究にさまざまな知的活動が含み込まれてあることも体得してもらいたいと考えている.たとえば,エスノメソドロジー·会話分析の実践を理解するにあたって,ゲーム理論,現象学,日常言語学派哲学,認知科学,などが関わっていることが本演習では理解されるであろう.図書館の積極的活用が望まれる.

評価

出席,日常点.ただし,能力に差が大きいと思われる場合には,最低水準の底上げを図るために,テストを行うことも検討する.

教科書

D. Maynard 2003『Bad News, Good News』Cicago University Press.paper版で約3000円.ただし,国内在庫がすでにないので,取り寄せの間は,下記抄訳で事前準備を共同して行う.教科書2:D. メイナード著2004『医療現場の会話分析』勁草書房,2900円.教科書は共同購入をするので,初回の授業で申し込むこと.

Heritage and Maynard2006『Communication in Medical Care』Cambridge Univ Press.

連絡先

樫田(1224, 088-656-9308, HCB00537@nifty.ne(no-spam).jp)
オフィスアワー: 学期中は毎週火曜日午後2時∼3時.1号館南棟2階中央1224室.kashida@ias.tokushima-u.ac.jp.

備考

隔年(平成21年度が最終授業となる予定).