日本史研究II
准教授・衣川 仁
2単位
目的
日本の中世は「武士の時代」と理解されることが多い.そのような側面は否定できないし,実際に武士に代表される暴力が社会に蔓延していたといってよいだろう.しかし,一方でそのような武勇とは対極にある安穏への指向性もあったはずである.その動きの先頭に立っているのは仏教であったと考えられるが,仏教そのものが武力を保有していた確かな事実があることで,問題は複雑になっている.この講義では,仏教をはじめとする宗教勢力の歴史的動向と社会との関係を検証し,複雑に見える〝中世的世界〟の歴史的特質について考察することを目的とする.
概要
平安∼鎌倉にかけての宗教勢力の歴史的動向を明らかにし,世俗権力および社会全体との連関を踏まえて,その特質を解明していく.
キーワード
中世寺院,暴力,祈り,王法と仏法
関連科目
注意
史料にもとづいて講義する.わかりやすく解説するつもりであるが,各自でも予習·復習や質問等によって,その内容理解に努めてほしい.
目標
1. | 中世仏教を素材に,中世前期の社会的背景を踏まえつつ,その歴史的特質を理解する. |
計画
1. | ガイダンス―暴力と祈り― |
2. | 「僧兵」論の問題点 |
3. | 寺院の中世化 |
4. | 良源の治山 |
5. | 強訴の論理 |
6. | 神威と衆威(1)―在地社会と仏教― |
7. | 神威と衆威(2)―都鄙を移動する僧侶― |
8. | 山上合戦―延暦寺の内部抗争― |
9. | 慈覚・智證の争い |
10. | 延暦寺対興福寺―雌雄を決する― |
11. | 世俗権力の対応 |
12. | 内乱と寺院勢力 |
13. | 仏法興隆 |
14. | 中世国家と仏教 |
15. | 大衆とはなにか,悪僧とはなにか |
16. | 総括授業 |
評価
主として期末試験により評価するが,出席・コメントなど授業への取り組みも勘案する.
再評価
なし
教科書
プリント等を配布する.
連絡先
衣川(088-656-7153, kinugawa@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
- オフィスアワー: 火曜日12時50分∼14時20分