2009年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 アジア文化 — 1年(前期), 2年(前期)

日本文学特論

准教授・堤 和博

2単位

目的

日本古典文学作品のうち,最も主要なジャンルとも言える和歌の解釈法を一部演習形式を含みながら身につけることを目的とする.その際,現代の辞書·注釈類のみならず,主として古代·中世の資料·史料等も参照しながら,当時の文壇及び政治·社会の状況等も踏まえた解釈を目指す.受講者が今まで経験してきた古典解釈の単なる延長ではなく,かなり発展性を含んだものとなるはずである.まず,現代の辞書·注釈類について言うと,今までそれらを引く際は,そこに正しいことが書かれてあるものとして参照してきたと思うが,本授業では,それらの記述に従って好いかどうかを吟味することを要求する.要は,例えばある言葉の意味を調べるとして,辞書·注釈書によるとこういう意味であったと言うだけでは0点である.そこに書かれてある内容が信頼するに足るかどうかを吟味する力を養ってもらう.加えて当時の史料·資料等も読解し,解釈の参考とする力も養う.纏めると,この世の中には,無批判に信用してよい文献は存在しない(辞書や注釈の記述も正しくはない)のであり,あらゆる文献を批判的に参照する態度を身につけるのが本授業の趣旨と言える.ところで,演習は,担当者が充実した内容の調査·考察を行うことを目指すのは勿論のこと,それを他の受講者に分かり易く説明するところまでもが目標となる.したがって,演習形式の授業においては,レジュメの作り方·発表の仕方などについても,担当者個々の創意工夫と努力を求める.

概要

日本古典文学作品,特に和歌の解釈法

キーワード

和歌,解釈,古代,史料読解

注意

学部時代,古典文学の演習を受講した経験のない者が受講する場合は,演習形式に入ると,経験者よりも数倍の努力がいる.また,経験した者も,学部時代の演習よりは,数倍自分で考えることが要求されるものと思う.

目標

1.日本古典文学作品,特に和歌を独力で解釈できる能力を得る.同時に,文献を批判的に参照する態度を身につける.

計画

1.和歌史の概略説明
2.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(1)―万葉時代前期―
3.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(2)―万葉時代後期―
4.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(3)―古今詠み人知らず∼六歌仙時代―
5.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(4)―古今撰者時代―
6.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(5)―後撰∼拾遺時代―
7.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(6)―摂関制から院政期へ―
8.取り上げる和歌作品(未定)出現前後までの和歌史(7)―古代末期から中世初期へ―
9.古典文学解釈の基礎的事項(1)―言葉の帰納的解釈ついて―
10.古典文学解釈の基礎的事項(2)―資料の取り扱いについて―
11.和歌文学解釈の特殊性について
12.受講者が取り上げた作品の解釈発表(1)
13.受講者が取り上げた作品の解釈発表(2)
14.受講者が取り上げた作品の解釈発表(3)
15.受講者が取り上げた作品の解釈発表(4)
16.総括授業

評価

発表の結果,及び期末のレポート

再評価

教科書

参考資料

授業中に適宜提示する

連絡先

堤(1315, tsutsumi@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日 10時10分から11時55分·総合科学部1号館南棟3階